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何でプリキュア達は中学生なのさ?-プリキュア強化週間Vol.2

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7月19日のエントリ、後天性プリキュア脳で、私はこんな疑問を提示しました。

ふと疑問に思ったのですが、女児(おそらくメインターゲットは幼稚園児)向けの『プリキュア』シリーズの主人公が中学生で、連続した時間帯に放送されておりおそらくメインターゲットの年齢層もかぶるであろう男児向けの『電王』(つか近年の『仮面ライダー』シリーズ)の主人公が青年なのはなぜなのでしょうね?

振り返ってみても、我々が昔視聴していたような男児向けの特撮ヒーロー物の主人公ってたいがい大人ですよね。地球防衛軍的なことが本業なのか、あるいはヒーロー業務は副業なのかといった違いはあるにせよ、基本的には青年以上の年齢だったような気がします。学生が主人公だったことってあるのかな…?

で、基本的に女児向けの主人公は、例えば『セーラームーン』なんかだと…あー、主人公は途中で中学→高校進学してるんですね。んでもやっぱ基本は学生さん。

この違いは何なんでしょうか?教えてください偉い人!

そして当該エントリのコメント欄にてアッガイ☆さんからこんなレスをいただきました。

男子ヒーロー>勤労青年
女子ヒーロー>生徒

といった問題は,斎藤美奈子さんの『紅一点論』に書いてあったような気がします。気がするだけです。

ってことで読んでみましたよ。

紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 (ちくま文庫) 紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 (ちくま文庫)
斎藤 美奈子

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わりと熱心に読んじゃいました。一人飯の友としてさらっと読めたのが良かったです。面白い本をご紹介いただきありがとうございました>アッガイ☆さん


Amazon.co.jpの紹介文よりコピペ

「男の中に女がひとり」は、テレビやアニメで非常に見慣れた光景である。その数少ない座を射止めた「紅一点」のヒロイン像とは。「魔法少女は父親にとっての理想の娘である」「(紅一点の)紅の戦士は“職場の花”である」「結婚しないセクシーな大人の女は悪の女王である」など見事なフレ-ズでメディアにあふれる紅一点のヒロインとそれを取り巻く世界を看破する評論。

ってな感じでキャッチーなフレーズを用い、平易な文章でなかなか核心を突くと思われる問題提起が次々となされます。若干「根拠として弱くね?」「それは勝手な決めつけじゃね?」と思う部分もないわけではありませんが、学術論文ってわけでもない評論のたぐいですし、その辺は大目に見てもいいんじゃないかと思います。
んで、紹介文のところにもちょろっと書いてありますが「魔法少女は父親から見た理想の娘」なのですよね。どういうことなのかと言いますと…以下本文よりコピペです。

なぜ女の子の国の主人公はローティーンなのか。そのくらいの年齢までが、「女児に見せるにふさわしい可愛らしい女性像」だからである。娘も高校生になってしまえば、外での生活が大切で、親など見向きもしなくなる。父親なんか嫌悪の対象でしかない。換言すれば、せいぜいこのくらいまでが、親にとっては娘が「うちの可愛い娘」でいてくれる上限の年齢なのである。

うーん…確かに。
で、これは年齢の上限についての説明なのですが、10歳未満の女児をメインターゲットとしたアニメの主人公がなぜ中学生くらいなのか?メインターゲットと同じ年齢層ではいけないのか?ということの説明にはなっていません。
その辺に関してはこの前で述べられていることが関係しているかもしれません。

女の子の国は公私混同もはなはだしく、私生活だらけである。学校生活や家庭生活がたっぷりと描かれ、ヒロインの恋愛ドラマも重要な要素となる。いや、少女マンガと同様で、恋愛なしには成り立たないのが女の子の国である。

女の子の国に棲む女の子たちは、ほとんど全員、恋愛ボケの色ボケである。戦いに巻き込まれるきっかけ、行動のモチベーションじたい、じつは色と欲がらみのことが少なくないのだ。小中学生にして、このありさまでは、まったく将来が思いやられる。

ってことで、女の子が憧れる(と考えられている)恋愛模様を体現するには、やはり10歳未満の主人公では若すぎるのかもしれません。思春期に突入したローティーンが一番都合の良い年齢層なのではないでしょうか。
・・・・・・・・・・
ってところで、ようやく『プリキュア』シリーズの話になります。
第一作目の『プリキュア』が革新的だった点の一つとして、それまで恋愛至上主義であった同様の女児向けアニメに比して恋愛要素が極端に排されていたということが挙げられます(ってのはWikipediaの記述にもありますが…)。
もちろん、中学2年生の女の子の日常生活を描くのに恋愛要素は必須ですし、確かに主人公の一人、美墨なぎさの憧れ、藤P先輩って人も出てきてます。
が、やはりそれは添え物程度のものであり、『プリキュア』シリーズにおいてはもっと重要な関係性ってのがあるのです。
それが「女の子同士の友情」ってやつです。
…とか言いつつ、単純に「友情」って言葉でくくってしまっていいのかは微妙かもしれません。私は女の子だった時代はないのでよくわからないのですが、女性同士の友情ってのは、どこか同性愛的要素を感じさせるものはあるのかもしれないと思ったりします。
というのも、『プリキュア』シリーズでは要所要所でプリキュア同士が「手をつなぐ」場面が出てきます。
昨日のエントリでもご紹介した『ふたりはプリキュア』のオープニング映像でも「手をつなぐ」場面は非常に印象的です。

それはプリキュア同士の絆を象徴する表現なわけですが、もしこれ男性が主人公だったとしたらそういう表現はまず見られないですよね?
…いや、もちろん、今現在女の子である人、あるいは女の子だった人の中には「そういうもんじゃねーよ」っておっしゃる方もいると思います。ただ、作中では少なくともそういうものとして描かれており、それは私みたいな単純な人間にとっては結構な感動を呼び起こすものだったりするわけなのですよね。
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ただ、現在放映されている『Yes!プリキュア5』では、恋愛要素(そして視聴者が妄想する恋愛模様)についてはもっと複雑になってきているのですが、それはまた別のお話ってことで。
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とにかく、そういう点で『プリキュア』シリーズは新しかったってことですよ。
そして初代『ふたりはプリキュア』の第8話はほんとに良かった。その「女の子の友情」(とおぼしきもの)ってのがよく表現されていたまさに「神回」です。

プリキュアに興味のない人も是非見ていただきたい…っても、7話までの積み重ねがあってこその8話なのでここだけ見てもアレかもしれませんが、とにかくそれまで「美墨さん・雪城さん」と名字で呼び合っていた2人が「なぎさ・ほのか」と名前で呼び合う最後の場面は(私みたいな単純かつ最近涙腺ゆるみがちな人間は)号泣でございますよ。

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Amazon.co.jpのカスタマーの評価も高いっす。
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ってなわけでホントマジで一度見てください。『プリキュア』。
…って、こんな長文を書いて果たして読んでくださる方はいらっしゃるのでしょうか?
いなくてもいいです。…んでも読んでいただけると大変うれしいです。明日もまた書きます。てか、何とか今日中にアップすることができてよかったです。

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