臨床心理学

再鑑定してもねぇ…

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皆さんも各所でご覧になっているかもしれませんが、こんなニュースがありましたよ。
連続幼女誘拐殺人:宮崎勤被告の再鑑定要求 最高裁弁論
全文コピペしますよ。

 88~89年に埼玉と東京で幼女4人が殺害された連続幼女誘拐殺人事件で殺人罪などに問われ、1、2審で死刑判決を受けた宮崎勤被告(43)に対する上告審弁論が22日、最高裁第3小法廷(藤田宙靖(ときやす)裁判長)で開かれた。弁護側は「被告は事件当時から持続する慢性精神疾患」と主張し、死刑判決を破棄して審理を東京高裁に差し戻し、精神鑑定を行うよう求めた。審理はこの日で終結し、年明けにも判決が言い渡される見通し。
 弁護側は東京拘置所への照会結果に基づき「拘置所は宮崎被告に向精神剤を継続的に処方しており、統合失調症を想定した治療が行われていることは明らか」と主張。「精神疾患が事件に影響を与えたことに争いの余地はなく、改めて鑑定を行うべきだ」と述べた。検察側は「完全な責任能力を認めた2審判決に誤りはない」と、上告棄却を求めた。
 1、2審判決によると、宮崎被告は88年8月~89年6月、埼玉県入間、飯能、川越市と東京都江東区で当時4~7歳の女児を相次いで誘拐して殺害するなどした。1審で2度行われた精神鑑定は、責任能力の有無で判断が分かれ、地裁は完全責任能力を認める鑑定を採用。2審は弁護側請求を却下して、鑑定を行わないまま1審を支持し、控訴を棄却した。【木戸哲】
 ◇宮崎被告「いじめる人の話が聞こえる」
 弁護人によると、宮崎被告は東京拘置所の独居房で過ごし、接見した弁護人の問いかけに「的外れな答え」が返ってくることもあるという。事件後の体重は62キロ、控訴審中は65キロを超えていたが、ここ数年で57~58キロまで減り「目に見えてやせた」(弁護人)。「つめをはがすのは私にやらせろ」「目を刺すのは自分にやらせろ」などという内容の「(宮崎被告を)いじめる人同士の話が聞こえる」と訴えているという。
 逮捕翌年の90年に最初の向精神剤が処方された。1審で審理中の96年6月からは継続処方が始まった。一時中断された時期を除いて投薬が続き、今年に入ってその量は増えているという。
 東京拘置所から弁護人への回答によると、投薬の目的は「風邪薬を服用しても悪寒や頭痛、腹痛が改善されないことと、うつ病のような症状を申し出たため」「吐き気の訴えに対して」「胃に不快感を訴えた」など。ここ数年は「幻聴の訴え」や「焦燥感の増悪と幻聴の継続」により、処方される薬の組み合わせや量が変わることもあるという。
 最高裁の審理には被告に出廷の権利も義務もなく、法廷に宮崎被告の姿はなかった。審理の行われた第3小法廷の一般傍聴席は47席。開廷前には傍聴券を求めて80人が列を作り、事件に対する関心の高さをうかがわせたが、最後の審理はわずか30分余で終わった。【木戸哲】
毎日新聞 2005年11月22日 22時21分

で、オウム事件の最重要人物である彼についてもそうですが、こういう場合、弁護人が入れ知恵している可能性ってのはどれくらいあるんでしょうね。職業倫理には反するのかもしれないですけど(てか、その辺の倫理規定はどのようになっているのかわからないのですが)、なりふり構わず減刑を求めるのであれば、かなり有効な戦術だと思うのですよね。少なくとも時間稼ぎにはなりますし。
ま、恐らく何度鑑定をしても大して変わらないと思うんですけどねぇ。つーか、仮に現在の臨床像というか病態水準が精神病圏だったとして、レトロスペクティブに犯行当時の状態についての妥当なアセスメントができるとは思えないのですけどね。少なくとも当時の鑑定以上に妥当な鑑定は無理でしょう。
…と考えると、余計に「無駄な時間稼ぎ」としか思えません。
個人的には鑑定時のロールシャッハのプロトコル、非常に見てみたかったりしますが、それは色々あって永遠に無理な話なのですけど…。
で、この事件がらみではかなりの数の書籍が出版されていますが、鑑定関連はこの編ですかね。

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特に後者は値段・ボリュームともにものすごいですが、それもそのはず。東大助教授の中安氏の鑑定書そのままを出版したものですからね。
これら2冊はともに「多重人格障害」(って解離性人格障害のこと?)説を支持するものですが…どうでしょうねぇ?(と含みを持たせてみる)。
11/24 12:50訂正:中安氏は統合失調症の初期段階と鑑定されていたようです。コメント欄にてご指摘くださった通りすがりの人さん、ありがとうございました。

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