PC・インターネット

司法修習生のブログでの守秘義務違反疑惑の件で

投稿日:

こんなニュースがありましたよ。
ブログに容疑者の様子など掲載、司法修習生に守秘義務違反の疑いもYOMIURI ONLINE

長崎市内の法律事務所で実務修習をしている20歳代の男性司法修習生が、取り調べや刑務所内の見学など修習内容をインターネット上のブログに掲載していたことがわかった。

長崎地裁は、裁判所法に基づく守秘義務違反の疑いもあるとして調べている。

で、このブログそのものは既に削除されているのですが、キャッシュは残っております。
http://blog.goo.ne.jp/oshiete-goo-shitumon/e/84aab7434f15b38a9d6fec6168b8325b
http://blog.goo.ne.jp/oshiete-goo-shitumon/e/3e12debee9be4f72f9080efcbc6e6a28
http://blog.goo.ne.jp/oshiete-goo-shitumon/e/9c2a55bdea5f70c5e3a68e6da076b14b
問題のブログは法曹界の人でありますが、私達対人援助職に関わる人間にとっても守秘義務というのは当然課せられております。当ブログでもこれまで何度かブログでの守秘義務違反について取り上げてまいりました。
とりあえず最近の関連過去ログ。未読の方はこちらからどうぞ。
ネット上で自身の臨床実践に関する記述をすることについて改めて考えてみる(08/05/22)
上記キャッシュの内容程度を見る限りで思ったこと。もしあれ以上ひどいことが書かれていたとしたら、以下の文は意味ないんで、その辺をご了承ください。
もしあの程度で新聞沙汰になるのであれば、心理職またはその予備軍、精神科医、あるいは精神保健福祉士の運営しているブログで、同じくらい問題になるのではないかと思われるブログを私は即座に2つ、3つは挙げられますよ。
少なくとも件の司法修習生のブログ記事の内容から、被疑者個人を特定するのは困難だと思います。
同じように、例えば心理系、精神医学系、精神保健福祉系で、「今日の診療」とか「昨日の実習」とか「今日の面接」とかで、どんな患者・クライエントと会ってどんな話をして、どんなことを思ったか感じたか…なんてことが書かれているブログは見つけようと思えばすぐ見つかります。これらの患者・クライエント個人を特定するのは困難です。ただ、取り上げられている患者・クライエント本人が見たらすぐに自分のことだと分かるような内容です。
確かに件の司法修習生が書いている内容はぶっちゃけすぎのような気がしますが、同じ程度のレベルの「守秘義務違反疑惑」をもたれるのようなブログはたくさんあるわけです。…まさか、法曹系と医療系では守秘義務の定義が異なるというわけでもないですよね。
ネット界隈でもこの件を取り上げているブログはたくさんあります。“司法修習生 守秘義務”でブログ記事検索すればすぐに関連エントリは山のように出てくるはず。その多くは批判的な論調であり、「これが本当に守秘義務違反に当たるのか?」ということについて書かれているブログはほとんどありません。
そんな中で、こちらのブログではその点について言及されておりました。
司法修習生の守秘義務違反は本当か?ニュースな待合室
ちょこっと引用していきます。

自分は記事を読んだ瞬間、「守秘義務違反は言い過ぎでは?」と思ったのですが、元のブログの内容(末尾にリンク)を読んで、あらためてそう思いました。

検事や裁判官の人が、著書や講演で、自分の経験を口にすることは完全に禁止されているわけではありません。もちろん、守秘義務違反に反しない範囲でです。この司法修習生のブログの記事も、被疑者の特定につながるものではなく、守秘義務違反を問うのは無理ではないかと思います。

ですよねえ。
ただワタクシとしましては、上記過去ログにも書いてある通り、患者・クライエント本人が見た時に「自分のことだ」とすぐに分かる内容、あるいはその本人以外が読んだ時に「自分のことかもしれない」と思うような内容はブログには書くべきではないと思っています。
もちろん、本人の承諾を得てその旨を明記した上で書くのであれば問題ないですので、実際の臨床実践を取り上げて何か問題提起をするのは不可能ではないと思います(ただ、その後の治療関係などを考えると現実的ではありませんが)。
上記リンク先では

リンク先のブログに書いてある通り、この人が検察官に対して批判的な(でもまっとうな)ことを書いたのが検察官のかんに障ったという説が、一番正しいのではないでしょうか。それを新聞記者が、検察サイドへのご機嫌取りのために記事にしたのでしょう。

としていますが、その辺は仮説の域を出ないですし、その仮説が正しいかどうか検証する術を(少なくとも私は)持っていませんので、これ以上は何も言えません。
ただ、今回の新聞記事について、自身の診療や面接、実習内容についてブログで書いている人はどう思うのか、できれば当事者からご意見いただけると面白いかなあと思った次第でございます。

1日1回ポチっとクリックして順位確認後、戻ってきていだけると大変うれしゅうございます学問・科学ランキング

-PC・インターネット

Copyright© ロテ職人の臨床心理学的Blog , 2024 All Rights Reserved.