資格問題

奈良県臨床心理士会のウェブサイトに掲載された「緊急・国家資格化に向けて鳥取県から」を読んでみた その3

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さらに続きます。このシリーズ、未読の方はまずは下記リンクから過去記事をお読みくださいませ。

奈良県臨床心理士会のウェブサイトに掲載された「緊急・国家資格化に向けて鳥取県から」を読んでみた その1(12/05/23)
奈良県臨床心理士会のサイトから「緊急・国家資格化に向けて鳥取県から」の文章が削除されている件(12/05/28)
奈良県臨床心理士会のウェブサイトに掲載された「緊急・国家資格化に向けて鳥取県から」を読んでみた その2(12/05/29)

さて、とりあえずお知らせ[緊急・国家資格化に向けて鳥取県から]|奈良県臨床心理士会(cache)に対するコメントというか感想?ツッコミ?の続きです。もしキャッシュが閲覧できない場合はスクリーンショットでどうぞ。

では引用しながらいってみましょう。

今や文部科学省だけでなく、※厚生労働省など他の省庁でも国家資格と同列に扱われるようになっている臨床心理士ですが、前述のように、仮称「心理師」資格案を推進する限り、今ほどのサービスを国民に対して提供できなくなる可能性が高くなりました。


この「国家資格と同列に扱われるようになっている」の根拠がこちら。

※平成22年9月の閣議決定で、新卒応援ハローワークにおいて「臨床心理士等が心理的サポートを行う」という形で臨床心理士の名前が公文書に使われて以来、厚生労働省の公文書でも、当たり前に臨床心理士が使われるようになっています。本年3月16日の国会文教委員会での心理職の国家資格化という質問に対しての厚生労働省の公式な答弁でも、「臨床心理士や心理職の方々は・・・」という形で、特定の資格名称としては唯一臨床心理士が使われていました。多くの公立病院でも、心理職としては臨床心理士が優先的に雇用され、防衛省の自衛隊の衛生隊でも独占的に臨床心理士が雇用されています。政府によって臨床心理士が国家資格に準ずる資格とみなされているのは明らかです。

まずは「臨床心理士の名前が公文書に使われて」いるというのが「国家資格と同列に扱われるようになっている」ことなのだそうですが…「臨床心理士“等”」だったり「臨床心理士や“心理職の方々”」といったような表記なのですよね。確かに固有名詞が出されているのは臨床心理士なのでしょうけれども、「等」「心理職の方々」がついている限りは他の心理系資格保持者も含まれるわけで、それをもって「臨床心理士」のみ「が国家資格に準ずる資格とみなされているのは明らか」と断言してしまうのはどうかと思いますよ。これではこの文章を読んだ人に「どれだけ既得権益にしがみつきたいの?」と思われても仕方ないのではないでしょうか。

そもそも本当に「国家資格と同列」であるならば、新しい国家資格を作る必要はないでしょうし、臨床心理士を国家資格化する必要すらないでしょう。国家資格ではないから困っている臨床心理士を含む心理職の人たちがいて、国家資格化することで利用者に提供できるサービスの拡充がなされる可能性あって、それだからこそ国家資格を作る必要があるわけです。既得権益を守ることは、同業者に対する妨害になったり、提供できるサービスの拡充の機会をつぶすことにすら繋がってしまうかもしれないのですよね。…それで本当にいいのですか?

そう考えると、本当によくこの文章を実名入りで公開したと思います。どれほどの批判を受けることをも辞さない覚悟でやってらっしゃるのか、それとも何も考えてらっしゃらないのか…恐らく前者なのだろうとは思いますが、だとすると本当にすごい覚悟だと思います…あるいは、あの文章を公開することの結果全く考えてらっしゃらなかったから(その主体があの文章を書かれた方なのか、それとも奈良県臨床心理士会の担当者なのかはわかりませんが)、結果的にあの文章は削除されてしまったのでしょうか?その辺りは当事者に聞かなければわかりませんが、色々と仮説は立てられますよね。

そして、その仮説を立てるための根拠になり得る文章がこちら。

お知らせ[心理士の国家資格化と日本臨床心理士会の動きについて]|奈良県臨床心理士会

…さて、今気づいたのですが、この文章、色々と変更されてますよね。

ここでまたGoogleのキャッシュを見てみましょうか。

お知らせ[心理士の国家資格化と日本臨床心理士会の動きについて]|奈良県臨床心理士会(cache)

こちらは

これは Google に保存されている http://www.nsccp.jp/info-detail84.html のキャッシュです。 このページは 2012年5月22日 06:12:15 GMT に取得されたものです。

ということですが「お知らせ(一覧)|奈良県臨床心理士会」を見ると、日付は“2012.05.19”になっているのですよね…いや、文章をアップした日は5/19なんでしょうけれども、その後更新や改訂したならばその日付にするべきなのではないでしょうか?またいつ見られなくなるかわかりませんのでやはりこのキャッシュをスクリーンショットを保存した上で、ローカルにページ全体を保存しておきたいと思います。

お知らせ[心理士の国家資格化と日本臨床心理士会の動きについて]|奈良県臨床心理士会(cache)スクリーンショット

そんなわけですので、本当は今回でこのシリーズは終了する予定だったのですがさらに続くことになりそうです。

最後に一点だけ触れさせてください。

新しく更新された文章の終わりにはこう書かれています。

ある団体に対して意見を述べる以上、誰が文章を作成したかを明らかにするのがマナーであるという意見をいただきました。また、私個人はまた、私個人は誰かを貶めたり誹謗中傷を述べたりするつもりはありませんが、至らない表現がございましたらご意見を賜りたいと思います。

この「誰が文章を作成したかを明らかにする」というのは「実名でなければいけない」ということでしょうか?そうだとすると、大変横暴な話ですよね。

この文章を書かれた奈良県臨床心理士会の山崎修氏のように、個人的な意見(本文中に「あくまでも個人的な推測です」との文章が追加されております)を地域の臨床心理士会のサイトに掲載できるだけの力を持った人であればそうではないのでしょうけれども、私のようなしがない病院勤務の臨床心理士にとってはそう簡単にはいきません。

私個人の意見を所属している地域の臨床心理会のサイトに掲載するだけの権限なんてとてもありませんし、仮にそれが出来たしても、それをよく思わない人からの攻撃があるかもしれないからです。ネット上で意見のやりとりだけでしたら問題ないのですが、それがリアルでの関係性に影響を及ぼすリスクを考慮したら、とても実名での発言はできないです。少なくとも私個人としては。特に今回のような問題は職業的な関係性に関わる部分ですので、こうして匿名で発言するしかないわけです。

それに対して「匿名での発言はマナー違反だ」というのであれば、それは個人的意見の発言を封じ込めるような意図があると思われても仕方ないでしょう。もし私が実名でブログをやっていたとしたら、絶対にこの一連の文章は書かないです。

私の言っていることおかしいでしょうか?もし問題点がありましたらご指摘いただきたいと思います。

もしも「誰が文章を作成したかを明らかにする」というのが「奈良県臨床心理士会の総意ではなく山崎修氏個人の意見であると明らかにする」ということなのであれば、それは当然のことだと思います。奈良県臨床心理士会のサイトで「お知らせ」として掲載されている文章であれば、それを読む人はその意見を奈良県臨床心理士会の総意であるとみなすでしょう。これは「マナー」云々以前の問題ですよね…だとすると「マナー」というのは前者になるのでしょうか?誰がそんな横暴なことをおっしゃっているのでしょうか?

さて、長くなりましたので今日はここまでにしたいと思いますが、当然、私も誰かを貶めたり誹謗中傷を述べたりするつもりはありません。至らない表現がございましたらご意見を賜りたいと思います。コメント欄、またはメールフォームよりよろしくお願いいたします。

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