子育て

実証にもとづく子育て

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私の書いた4/5のエントリー、こんな広告あるんですねで、takashiさんのさいころじすと日記[学会・研修会]すくすくコホート三重─21世紀を担う子どもの発達を探るの記述にツッコミを入れてみました(その詳細については当該エントリーを参照のこと)。


で、そのツッコミに対してtakashiさんからご丁寧な返信いただきました(こちら→[心理学小話]恒例企画!?─ロテ職人さんのツッコミに答える。
私は

エビデンスベーストな子育てってのはどうなんでしょうか?子育て支援に対する何らかの示唆は得られるのかもしれませんが…「子育てを実証に基づいて検討する」のと「実証に基づいた子育て」ってのは全く別物であり、「実証に基づいた子育て」ってのは個人的にはあまりしたくはないものだなと。確かに育児書とかは気になりますけど…どうなんでしょうか?

と書いたのですが、それに対してtakashiさんはこう答えています。

これは、私の紹介の仕方が悪かったですね。コホート研究の事業は、まさに「子育て支援に対する示唆を得る」のが目的になります。この示唆を元に子育てするのが「実証に基づく子育て」ということになりますかね。

…うーん。やっぱり何か違和感が残るんですよね。「実証に基づく子育て」という言葉そのものが。で、その違和感は何なのかという点について考えていたんですが、私のツッコミエントリーのコメント欄でのミナミノシマさんの発言からなんとなくわかったような気がしました。
ミナミノシマさんの発言を引用してみますと

子育ての分野で「エビデンス」というと居心地悪いのは、「エンド・ポイント」を設定する、ってこと自体が胡散臭くなっちゃうからじゃないですかー?
「30歳で年収一千万」をエンドポイントにした子育てと「60歳で盆栽を愛する」をエンドポイントにした子育ては違うでしょうしー。

で、恥ずかしながらこの「エンドポイント」という用語を知らなかったのでぐぐって見たところこんなのを発見しました。
健康情報ヘルスケアポケット-EBMとコクラン共同計画に関する用語解説
で、「エンドポイント」とは…

 医学的介入の意義を評価するために任意に選んだアウトカム項目。評価の物差しは死亡、QOLの変化、副作用の発現など。
 血圧、血糖値、腫瘍サイズなどの物差しは、患者にとって真の利益となっているかわからないため、脳卒中、心筋梗塞の発症や死亡などの、いわゆる真のエンドポイントtrue endpointに対して代用エンドポイントsurrogate endpointと呼ばれる。

ふむふむ…
つまり「子育て」においては様々な価値観があり、その評価の基準となる明確なアウトカムは設定できないというあたりが私の違和感の元だったのではないかと思うのですよね。「子育てを実証的に検証」し、「実証に基づく子育て支援」を行うということが目的なのであれば非常にすっきり納得できます。
子育てのゴールなんて一つじゃないですもん。うちなんかはどうしても子どもを見ながら家事をやらなきゃいけない場面ってのが多かったりするので、結構テレビとかビデオとかに頼ってしまってます。そういうことに関して実証データなしに「2歳までのテレビの視聴は、子どもの発育によくない」なんて言われた日には腹が立ちますからねぇ。…でも実証データがあってもどうなんだろ?やっぱり「必要悪」と思ってしまうかもしれません。
そしてうちの娘の好きなDVDを張ってみる。

ベイビー・モーツァルト
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…これらの商品のリンク先の評価を見てみると、基本的に高い評価がなされていますが、反面、ものすごく低い評価をつけている人もいます。(ざっと見ただけではありますが)肯定派の発言も否定派の発言も実証(=エビデンス)に基づくものではないんですよね。子育てに関する様々な言説が氾濫している現代において、takashiさんからご紹介いただいたようなコホート研究は非常に意義があるものだと思います。
ちなみにうちではテレビとかビデオなどを子どもに見せる場合には、できるだけ話しかけながら一緒に見るようにしてます(「~きれいだねぇ」とか「楽しいね」とか)。これもエビデンスには基づいてないんですけどね。そして上で挙げたDVDはかなりお薦めです。これも(少なくとも子どもの発育上の影響に関しての)明確なエビデンスはないんですが。
takashiさんは最後のまとめで

それから、「実証に基づいた」と言う場合、ここでは、「厳密に統制された効果研究の知見」というよりは、「経験的な根拠に基づいた知見」という意味合いが強いでしょうか。

と述べていますがそれはむしろ逆では?これまで子育て支援などは経験的な根拠に基づいておこなわれていたが、大規模コホート研究によってその根拠となる部分を補強するというのが目的になるのではないですかね?
結論:子育てにおける価値観は多様であるはずであり、その意味で「実証に基づく子育て」という概念は「エンドポイントの設定が明確にならない」という点で違和感が残る。「実証に基づく子育て支援」が最終的な目的なのであれば納得できる。
この件についてどう思いますか?>takashiさん&皆様

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