臨床心理学

将来的に心理学を仕事にしない人にとっての卒論の意義について積極的に考えてみる その1

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一昨日のエントリ、「良い研究」ってどんな研究なのさ?でも話題の発端となった、nocteさんの心の探究、あるいは夜の世界の08/02/11のエントリ、相関分析にこんなことが書かれていました。

理想的にはもう一度調査をやり直してみる、というのも手なのだけれども、変数の整理、研究デザインの整理に手間取って、頭を悩ませての調査の実施だったので、それをもう一度というのもなかなか難しい。心理学の専門家を育てるなら、それもありかもしれないけど、そうでもない現状で、そこまで求められないときに、出てきた現実の最初の1歩に踏みとどまっておくことは、確かに大事なことだろうなと思う。

当ブログでも修論の…というか、臨床家にとって研究することの意義ってのは何度か取り上げてきました。
【研究】臨床心理士が研究するということ(1)【臨床】(05/01/25)
【科学的】臨床心理士が研究するということ(2)【思考】(05/01/26)
【再現性】臨床心理士が研究するということ(3)【論理性】(05/01/31)
【これまでの】臨床心理士が研究するということ(4)【まとめとか】(05/02/04)
【色んな】臨床心理士が研究するということ(5)【実例とか】(05/02/07)
【科学者】臨床心理士が研究するということ(6)【実践家】(05/02/10)
【修論で】臨床心理士が研究するということ(7)【症例研究】(05/02/11)
上記リンク先などをご覧いただければおわかりかと思いますが、個人的には将来、心理学を糧に生きていこうという人にとっては(それが研究職でなくとも)研究する意義というのは存在すると思いますし、また研究を続けていく必要があるはずだと確信しております。
でも、そうでない人にとってわざわざ卒論で心理学的研究をしなければならない理由って何なのでしょうか?
ぶっちゃけ、心理学で食っていくつもりのない人にとっては卒論ってそんなに意味ないんじゃないか?と思う私がいます。現実的には卒論を必修ではなく、選択にしてもいいんじゃないかと思うわけです。


さすがに当ブログをよくご覧になる方にはそんな人はいないと思いますが、業界と関係ない人の中には「心理系学部・学科を卒業=カウンセラー」みたいな考えを持っている人がいるみたいです。でも、法学部を卒業した人が全員弁護士になるわけでもないですし、その辺からすれば心理系学部・学科を出て一般企業に就職、あるいは公務員の一般職として就職ってのはそんなに不自然じゃないというか、むしろ実際には大多数がそうであるということはまず前提としましょう。
で、卒論を必修にする意味はないと思うのですよ。
「4年間学んできたことの集大成として…」みたいな考えもあるかもしれませんが、それだったらどんな科目で単位とってきたか見ればわかるんじゃないでしょうか。むしろ卒論という形でまとめるのは習得した知識のごく一部でしかないでしょうし。
「1回くらいちゃんと研究(のまねごと)くらいはした方がいい」という意見もあるかもしれません。んでも、まともな大学であれば実験実習みたいなのは必修になってるんじゃないでしょうか?
心理系の学部生の卒論のデータ収集の手法としてもっともポピュラーなのは質問紙法なんじゃないかと思います。ある程度大量のデータを短時間で収集できるという点で卒論でも使いやすいんじゃないでしょうか。しかし、昨今は研究における倫理意識の向上もあり、被検者の同意が必須になってきたりしており(それも善し悪しなんじゃないかと個人的には思うわけなんですが、それはまた別のお話)、全員がデータを集めるってこと自体が困難な状況になってきています。
「じゃあ文献研究でもいいじゃん」って話になるかもしれませんが、学部生レベルでまともな文献研究が出来るとも思いません。せいぜいレポートってくらいのものしか書けないでしょうし、だったらわざわざ「卒論」と銘打たなくともレポートでいいじゃんってことになります。つか「文献研究なめんな」って話です。
で、卒論を選択科目にすれば、学生の負担も減る。そして将来的に研究が必要な学生に対しては教員も密度の濃い指導ができるってことでみんなハッピーなんじゃないでしょうか?
そんな中でも多くの大学の心理系学部・学科で卒論が必修となっており、教員は多くの学生の指導をしなければならない…じゃあ、将来心理で食ってくことは考えていない学生にとっての卒論の意義って何?というわけでようやく本題に入りつつあるわけなのですが、なんか思ったよりも長くなりそうなので続きはまた明日にでも…。

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