書店でこんな本を発見。ぶっちゃけ心理学・精神医学系の本ではないのですが、面白そうだったのでチェックしてみた。
表紙画像はこちら。
以下、序文より引用です。
今のお母さんのなかには,自分が親になって初めて赤ちゃんを抱っこしたという人が多いようです.わが国の少子化や住居環境,そして保育所保育などが,赤ちゃんのいる生活を「遠く」してしまっているためかもしれません.
親子の集いや育児相談の折の何げない会話で,「何を質問してよいかわからない」「戸惑ってしまう」の本音を耳にすることがあります.一方では普段の生活で「育児」や「子育て」という文字が目につくから,「どう育てたらよいか」が本音のようです.
この「育」の文字は江戸時代には「育児」書として,本となっていているし,明治・大正・昭和の時代にも刊行されていましたが,それほどの数でなく,戦争が終わって新時代を迎えた昭和20年代・30年代から,多くなりました.(育児書,143頁参照)
昔は環境もよくなかったし,病気も多かったから,何もわからない赤ちゃんを丈夫に育てるためには,何かと手をかけなければなりませんでした.それが「育児」「育てる」となって,それまでの経験を積み重ねて,何かと手を差し伸べて育てていたのでしょう.それで解決できないときは,神様や仏様にお願いしたり,おまじないで乗り切ったりしていたといいます.
今の時代は生活の環境はよくなったし,赤ちゃんの育ちもわかってきたので,「どう育てるか」でなく,「育ちを見守る」「赤ちゃんに手を貸してあげる」「何かできたら褒めてあげる」「遊んであげる」で,育っていく赤ちゃんと楽しんでしまおうという時代です.
ということで,この本は明るく楽しく,それでも真面目に「考現学」という表題を借りて,育っていく赤ちゃんを応援したいという思いで,身近なことをまとめてみました.
誰にもそういう頃があったけれど,誰も覚えていない0・1・2歳あたりの「育ち」を追ってみました.
2012年12月
巷野悟郎
出版社の紹介ページはこちら。
本書は,2004年10月号から2012年8月号まで,月刊「チャイルドヘルス」に連載された「育児考現学」をまとめたものです.各稿の最後に,掲載号を記しています.雑誌に掲載された時の文章を出来る限りそのまま生かしている箇所があります.
ということで、元々掲載されていた雑誌の最新号はこちら。
ワタクシ、不勉強でこちらの雑誌は存じ上げなかったのですが、分野としては「小児医療・母子保健」の雑誌なのだそうな。
著者の巷野悟郎氏は御歳90歳で、長きに渡り母子保健の分野に携わってきたお医者さんですね。
元々の掲載誌の性質もあるかと思いますが、0〜2歳くらいまでの育児にまつわる「よくある疑問」と「その答え」がバシバシわかる感じの本です。エッセイ形式で大変読みやすく、かといってこの手の本にありがちな「トンデモ」的な感じは少なくとも私が読んだ限りでは全くありませんでした。
現在乳幼児を子育て中の方はもちろん、子育て支援がらみの仕事の多い臨床家の皆様方にもお薦めなのではないかと思います。
興味のある方は是非ともポチっとどぞー。