研究と臨床

批判(正当な)とアカデミックハラスメント

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とりあえず未読の方は以下のエントリとコメント欄でのやりとりをお読みくださいませ。
「批判」と「誹謗・中傷」は当然違います(07/08/10)
大学院教育の意義-批判すること・されること-(07/08/20)
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さて…「批判」とか大学院教育とかに関して、以前友人からこんな話を聞いたことがあります。結構前に聞いた話ですし、時効だろうと思うのでここで書いちゃいますよ(まずかったらご指摘ください>友人)。


ある時、私の友人が出身大学院のゼミに参加したのだそうです。4月頃だったかな?で、そこでM2の学生さんが修論の構想発表をしてたのだそうです。その発表を聞いた友人は何の気なしにその学生さんに質問したんです。「ここがよくわかんないんですけど…」と。で、その学生さんはどう反応したと思います?
「私の研究が否定された!」と泣き出したのだそうな。
もうね、友人は( ゚д゚)ポカーンですよ。
ホントにただ質問しただけなんですよ。なのに「否定された!」って…そりゃ私もその場にいたら( ゚д゚)ポカーンとなりますわな。
で、その後どうなったのかは詳しく聞かなかったのでわからないのですが、最近の「批判」がらみのエントリのコメント欄でやりとりする中でふと思い出したのでした。
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そしてもう一つ思い出したのが「アカデミックハラスメント」という言葉ですよ。
今さら持ち出すまでもないとは思いますが、一応その定義。

研究教育の場における権力を利用した嫌がらせ

NPO アカデミックハラスメントをなくすネットワークより)
という感じでしょうか。
で、今はどこの大学でもアカハラ対策委員会的なものを設置し対処しており、各大学のサイトではガイドラインも載ってたりします。それを読んでいて気になったのが

言動に対する受け止め方には個人間やその人の立場等により差があり、アカデミック・ハラスメントに当たるか否かについては、相手の判断が重要であること。

アカデミック・ハラスメント防止に関する指針 - 福島大学より)
という一節です。この点についてはどの大学をサイトを見てもほぼ一致しているところであり、恐らく企業におけるセクハラも同じなのだと思います。
これに対する担保として

学生等とのよりよい指導・教育環境を築くためには、学生等とのコミュニケーションが最も大切です。相手が不快と感じる言動であっても、その言動が適切な教育・指導上のものであることが説明でき、お互いを理解し、尊重し合える教育・指導環境作りを心がける必要があります。

(同)
とあったりするのですが、もし友人の話に出てくるような「質問されて逆ギレ」的な院生が本気でアカハラとして訴えたとしたら、こういう説明ってのは通るものなのでしょうか?
恐らく調査委員会?とか諮問委員会?的な機関が動いてちゃんと調査すれば、教育的で正当な批判が嫌がらせの類ではないことは明らかになるでしょう。でも、ひょっとしたらそういう面倒な事態になることを恐れてちゃんと指導しない教員もいたりするんじゃないかとも思います。
実際のところどうなんでしょ…。
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近年、些細なことで小学校に乗り込んでクレームをつけてくる親や、給食費を払わないで平然としている親がいるというようなことが取りざたされています。そういう中で育った子どもが大学生・大学院生になった時、ひょっとして「質問→否定された」は極端な例としても、「批判→否定された」な学生になってしまうのではないかと、ちょっと薄ら寒い気がします。
そんな人達が実際の臨床現場に出てきたら…薄ら寒いどころの話じゃないっすね。
あ、もちろんアカハラを行うような教員を擁護するつもりはさらさらありませんので誤解のなきよう…(ってこのエントリを読んでそんな誤読をされる方はいませんよね?)。
この辺の話がらみで「実際こんなことがあった!」なんて人がいたらコメントいただけると(忙しかったりするので返事は滞っておりますが)参考になるので、大変うれしかったりします。もちろん、その他のコメントも超ウェルカムです。

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