臨床心理学

投影法にはこだわりたいと思っていますが「同じ穴の狢」呼ばわりはいかがなものかと>donさん

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06/07/20のエントリ、「食育」が気になる その6-描画の解釈について思う-のコメント欄にて、donさんからコメントいただきました。当該エントリを未読の方はまずはそちらから。
で、色々言いたいことがあったので、あえてエントリで返信してみますよ。

わが国の臨床の世界は科学とはかけはなれているので室田氏の解釈は当然の帰結だとおもいます。

もし、donさんがこの室田氏の解釈を「わが国の臨床の世界」のスタンダードだと考えてらっしゃるのであれば、私個人としてはここまで酷いとは思ってないですけどね。

要因は無数にあるのに自分の気にいった幾つかの要因だけから結論を導き出すのは心理学研究家の血液型性格診断と同じですよ!

その通りですね。無数の要因と可能性の中から、何故その解釈が導き出されるのかが明らかにされておらず、その点では「科学とはかけはなれている」と言っていいでしょう。
ただ…

妥当性も信頼性も欠いた投影法そのものに固執している点ではロテ氏も同じ穴の狢のように感じられますが、いかがでしょうか?

「妥当性も信頼性も欠いた投影法そのもの」というのが、「全ての投影法は妥当性も信頼性も欠いている」ということなのであれば、それはdonさんの態度が「科学とはかけはなれた」ものであると言えるでしょうね。
donさんは全ての投影法の妥当性と信頼性を確かめられたのですか?その上でおっしゃっているのであれば文句はありませんが、もしそうだとしたら是非ともそのソースを示していただきたいですね。全ての投影法が妥当性も信頼性も欠いているということが明らかになっているのであれば、私は心理アセスメントの中で投影法を使うのは止めますよ。
で、「妥当性も信頼性も欠いた投影法そのもの」というのが、ある特定の投影法を指しているとしても、これも同じです。その投影法の妥当性と信頼性に関するデータを全て概観した上でdonさんがそうおっしゃっているのであれば何も言い返せませんが、もしもdonさんの経験の範囲内で導きだされたご意見なのであれば、それはやはり「科学とはかけはなれた」意見であると言われても仕方がないでしょう。
で、私はこれからもきっと投影法にはこだわっていきたいと思います。で、私の仕事の範囲内で自分が使っているアセスメント手法の妥当性や信頼性に関しての研究は常に追っていきたいと思っておりますし、時間と体力が許す範囲で自分でもそれらに関する研究をしていきたいと思っております。
で、それも踏まえた上で私と室田氏は同じ穴の狢ですか?>donさん
「そうだ」と言われれば返す言葉はないですけどね。

臨床には文脈を読み取るという重要な作業があり、その点ではわたしはアイゼンクのごとく、投影法の総てを否定する者ではありませんが、解釈は説明に比べてあくまでも控えめなものであるべきだと常々考えています。

全くその通りですね。私も投影法の解釈はあくまでも「可能性でしかない」と思っていますし、それを踏まえた上で検査所見を作成し、依頼者や被検者に説明し、見立てを進めていくことにしております。
どんな手法を用いたとしても、臨床実践とは「仮説」の積み重ねであり、いかにしてその仮説の精度を高めていくかが必要かと思っています。ですから、投影法のみでアセスメントすることは出来る限り避けるようにし、やむを得ずそれだけでアセスメントしなければならない場合には、その限界を理解して行わなければならないと思っています。
で、それも踏まえた上で私と室田氏は同じ穴の狢ですか?>donさん
…どうやら私は「同じ穴の狢」扱いされたことがよほど不本意だったようです。

それにしても、臨床家の養成に携わる人々の資質を再考するにはロテ氏の低減は貴重なものだとおもいます。

どんな立場であったとしても、いつかは自分も臨床家の養成に携わっていかざるを得ないわけですし、そう考えるとこれは他人事ではなく自分自身の問題なのですよ。
自分自身の能力向上はもちろんですが、今後の業界全体の底上げを考えるとしたら、やはり教育の問題は避けて通れないものなのですよね。
そんなわけで、「臨床家の養成に携わる人々の資質」については皆様に考えていただきたい問題だと思います。
ほんと、直接室田氏とお話してみたいですよね。何でこんな解釈すんのか。もし室田氏のお知り合いがいらっしゃいましたら、「こんなところでこんなことが書かれているよ」とお伝えください。きちんと議論したいものです。

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