資格問題

日本臨床心理士養成大学院協議会が目指しているのはいまだに「臨床心理士の国家資格化」らしい件

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先日のエントリ、5/2読売新聞に国家資格化関連のなかなかよさげな記事が載ってましたでも述べたように、心理学関連のいくつかの団体が進めている「心理師(仮称)」の動きが一般層にも少しずつ知られてきており、そして国家資格化が現実味を帯びてきた昨今ですが、臨床心理士関連の団体の一つである日本臨床心理士養成大学院協議会(以下、臨大協)の考え方は未だに何年か前の段階で止まっているようです。

2年前、当ブログでは臨大協が提示した「一資格一法案での臨床心理職の国資格化への反対声明」とそれに対する日本臨床心理士会の「意見書」について取り上げました。

日本臨床心理士養成大学院協議会理事会による一資格一法案に対する反対声明について(10/05/18)
一資格一法案に対する反対声明の件でちょこっと補足(10/05/19)
臨大協見解に対する日本臨床心理士会資格法制化専門委員会からの「意見書」が出されたよ(10/05/26)

そしてそれから2年が経過して…今月5月1日。臨大協のサイトの「お知らせ」のページに新たな記事がアップされました。

お知らせ - 会員校の皆様へ

一部コピペします。

過日、2012年4月21日午前11時から、日本臨床心理士会、日本臨床心理士資格認定協会、日本心理臨床学会および日本臨床心理士養成大学院協議会の4団体から、それぞれ3名の代表者が出席し、臨床心理職の国家資格化に向けて協議、検討する会合が開催されました。

その席上、当協議会の国家資格検討委員会は、設立目的と国民への貢献を第一義とする臨床心理職の専門家の立場から、下記のような基本姿勢と提案を示しました。

上記4団体の会合の席上では、今後もこの形で協力をお願いするとの我々の要請に対して、コメントできないとの意見もありましたが、他団体から特段の反対意見はでませんでした。 この基本姿勢と提案は、翌日開催されました当協議会の理事会において、全員一致で承認、確認されましたので、当協議会の理事会の決定として会員校の皆様へお知らせ致します。

そしてその「基本姿勢と提案」というのがこちら。

国家資格についての基本姿勢と提案(※pdf注意)

細かい内容は各自でお読みいただければと思いますが、一番のポイントはこちらでしょう。

本協議会理事会は、設立の趣旨に基づき、社会に貢献できる人材養成を一層推進するために、臨床心理士の国家資格化に向けて、今後、次のような活動を展開していく予定である。

はい。「臨床心理士の国家資格化」とありますね。

このエントリのタイトルで既に述べておりますが、臨大協の認識というか考え方はやはり「現行の臨床心理士を国家資格にしたい」ということのようです。

なお、この動きに対して一般社団法人 日本臨床心理士会は5月7日にサイト上にて意見を述べております。

お知らせ l 一般社団法人 日本臨床心理士会

4団体会合において、大学院協議会より「国家資格についての基本姿勢と提案」が配布され、この提案への賛同が求められました。当会としましては、心理職の国家資格化に関するさまざまな微妙な状況の中、この提案に同意できない旨の表明を会合全体の議論の中で行っておりますことをここにお伝えいたします。

…だそうです。

明らかに意見が食い違ってますね。

臨大協は「我々の要請に対して、コメントできないとの意見もありましたが、他団体から特段の反対意見はでませんでした」と言っていますが、心理士会は「この提案に同意できない旨の表明を会合全体の議論の中で行っております」と。

臨大協がもう「あとに退けない」状態になっているのもわからなくはないですが(詳しくは上記2010年の記事をコメント欄も含めてお読みいただければと)、臨床心理士陣営が一枚板になりきれない状態にあるというのは、法制化の中で不利な立場に立たされかねないということなのではないかと思います。

ひょっとしたら臨大協が自ら悪役となり、国家資格化の動きの中での臨床心理士会の立場や考え方をより明確にする…といったプロレス的なアングルである可能性も否定はできないんですが…いや、それは多分考えすぎです。

こういうことがあるというのは、相変わらず予断を許さない状況なのだなあと思った次第。

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