既に会員の皆様には第一報が届いていることと思います。
来年の日本心理臨床学会第32回秋季大会は東京大学大学院臨床心理学コースを主催校、下山晴彦氏を実行委員会委員長とし、パシフィコ横浜にて開催されるそうな。
そしてTwitterを初めとしてネット上では既に色々と議論されているように「口頭発表の廃止」「全てのポスター発表とし」「シンポジウム中心」の新たなプログラムを試験的に実施するとのこと。
大会のサイトも開設されております。
日本心理臨床学会 第31回大会専用ページ(会員限定)
ID・パスワードが必要ですので会員のみ閲覧可です。
twitter上での皆様の声はこんな感じ。
日本心理臨床学会第32 回秋季大会(2013 年8 月25 ~28 日)(パシフィコ横浜)では、やはり事例研究発表(口頭)が無くなったとのこと。前からあるポスター事例と、今回から新しく「事例研究シンポジウム」と「臨床教育シンポジウム」ができたよう。
— ピュアリーさん (@purely1939) 11月 12, 2012
前々から日本心理臨床学会の事例研究(口頭)は下山氏が無くすとは聞いていたが、現実にそうなってしまい非常に残念、かつ腹立たしい限りです。事例研究の是非はあるにせよ、この学会の面白さや独自性がなくなってしまうのは悲しい。
— ピュアリーさん (@purely1939) 11月 12, 2012
@purely1939 全く同意見です。多岐にわたる研究や意見がある事が魅力と思うのですが。そして、学会員の多くが知らないうちに重大な変更が行われていたことにも…。
— 下柳権三さん (@kurofunemusashi) 11月 12, 2012
@kurofunemusashi 確かにこのような変更があるなら会員に意見を募ったりして欲しかったですね。それとも代議員や理事、役員が会員の代表として承認したということなのかもしれませんが。
— ピュアリーさん (@purely1939) 11月 12, 2012
ピュアリーさん(@purely1939)も書いておられるが、来年度の心理臨床学会大会では事例研究(口頭) がなくなることとなった。良くも悪くもこの学会のオリジナルな部分が事例(口頭)だと思う。それが会員の意見を聞かず、大会委員長の主義・主張で変更となることに疑問を感じる。
— エドモン・ダンテスさん (@DasIchunddasEs) 11月 12, 2012
ともあれ、会員数が2万5000人を超えた日本心理臨床学会の大会を東京周辺で開催するとなれば、会員が集まるのは予想できるし、運営も大変なものとなるだろう。そういう意味では開催上の工夫は必要だ。それが口頭事例の廃止というのは全く理解できないが、東大の実行委員には頑張ってもらいたい。
— エドモン・ダンテスさん (@DasIchunddasEs) 11月 12, 2012
まあ予想通り否定的な意見が大半ですわな。
でも…ワタクシ個人としては「別にいいんじゃないですか?」って感じだったりします。
第一報の「新たに採用する形式についてのご説明」にはこのように書かれております(これコピペしていいんだろうか?ダメだったらご指摘ください。該当部分を削除しますので)。
事例研究と基礎・調査研究の発表数が増え続け、そのための司会や会場を用意することが至難になってきております。さらに発表数が増えたこととも関連し、発表内容の質も落ちてきているとのご意見をお聞きすることも多くなっています。さらに、個別発表中心のために研究の成果が蓄積することがなく、質の向上につながっていないとの意見もみられます。その結果として、学会大会の魅力の低下を危惧する声も出て来ております。
そのような現状を鑑みて、東京大学の臨床心理学コースでは、会員の一般発表については、口頭発表を廃し、すべてポスター発表として、シンポジウム中心の新たなプログラムを試験的に実施することを条件として学会大会を引き受けさせていただきました。
それを条件として引き受けるということが学会の理事会なりなんなりで決まったなら、それは受け入れるしかないんじゃないですか?だって、それを決めたのは会員の皆様が選挙で選んだ理事なのですから。それが代議制ってもんでしょ(そういや代議員選挙の通知も来てましたね)。
署名とかもいいですが、文句があるのであれば代議員に立候補するなりすればいいんじゃないでしょうか。でもあの規模の学会を運営するのはまあ大変だと思いますけど。
もっと人数が少なければやりようもあるんでしょうけれども…皆さんは人数が多すぎることに起因する文句を言ったことないんでしょうかね?あの規模の学会が開催できる広さの場所を確保しようと思ったら、どうしたってある程度都心から離れた場所にならざるを得ないでしょうし、そういう不満を述べたことはないのかな?
そして当然こんな意見も出てきますね。
来年の心理臨床学会の通知がきた。発表の質を問うなら採択の基準を厳しくすれば良いと思うのだが。実行委員会側でテーマを決めるってどうなんだろう。テーマの分け方を見ないと何とも言えないけれど、学会側が発表して欲しい分野に意図的に偏る可能性が危惧されるのは自分だけ?
— 下柳権三さん (@kurofunemusashi) 11月 12, 2012
「採択の基準を厳しくする」とありますが、その基準ってどうやって決めるんでしょうか?「良い事例研究」ってどんな?
いや、基準を決めることは出来るとは思いますよ。その基準がある程度客観的なものであれば、それに合わせればいいだけでしょうけれども、それで果たして質の向上は望めるんでしょうか?その程度の基準であればクリアするのはそんなに難しくないでしょうし、そうなってくると「発表数の増加」へは対処できないっすね。
その基準に主観が入るようならば、そしてその基準が比較的厳しいものであれば、「なんで自分は落とされてあの人のは採択されるの?」って言う人、絶対出てきますよね。
で、現状として「質の低い事例『研究』とは言えないような事例発表」も少なからずありますよね?…あ、自分のしている発表が「質が高い」なんてことは口が裂けても言えないですが、まあ一般論として。学会は事例「検討」の場ではないわけで、それなら色んなところでやってる研究会、勉強会だったりグループスーパーヴィジョンに出せばいいのではないでしょうか。だいたい事例「研究」を期待して発表を聞いていたら事例「報告」みたいなのを90分にも渡って聞かされるのって…まあ時間の無駄ですわな(得るものがないわけではないけど)。
それを回避するために「ある程度有名な司会者」のいるところに行く訳ですが、そういう会場は事前に席取りしてある…ってのはやっぱり「学会」のあり方としては異常なんじゃないかと思います。
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さて、皆様が注目しているのは主に「口頭発表の廃止」なわけですが、それに替わって今回は「シンポジウム発表形式」が主要プログラムになるそうな。その点について…長くなってしまったので続きはまた別エントリで。