臨床心理学

検査所見はちゃんと書こうぜ

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たまにはちょっと真面目な話。
先日、ある心理系専門職(微妙な書き方だなぁ)の方からうかがったお話。その方の知り合いでこれまた心理系専門職の方は職場でロールシャッハをとったりすることもしばしばあるそうなんですが、少なくともロールシャッハに関しては3~4行くらいの所見しかかかないのだそう。
えーと…
心理検査所見はちゃんと書きましょうよ。で、それができないんだったら、心理検査やるのやめましょうよ。


別に「長々と書いてある所見=良い所見」なんてことは言いません。グダグダとくだらないことの書いてある検査所見を私も見たことがありますから。
それに私自身、時間のない医師からのオーダーが多いこともあって、最終的な結論は3~4行くらいでコンパクトにまとめるようにしております。でもね、わざわざ時間をかけてロールシャッハまでやっておいて3~4行程度のことしか書けないのなら、それは明らかに時間の無駄ですよ。
心理検査所見を書く目的として、とりあえずオーダー理由に応えるということはもちろんありますが、後々その所見を他の専門家が見た時にどうしてそのような結論・見立てが導きだされるのか、そのプロセスを残しておくという意味合いが非常に重要なのではないかと思っております。
数学のテストで最終的な解だけを書いたのでは点数が半分以下しかもらえないように、どうしてそのようなまとめになるのかということが重要だと思うのですよね。
で、ひょっとしたら「そんなロールシャッハなんて意味ないから」と思いながら、実際には使わざるを得なくて使っている人もまたいるかもしれません。そんなんじゃ、技術を習得しようという気にはならないでしょうし、またその程度の所見しか書けないのは当然かもしれません。
でもそう思っているのであれば、ロールシャッハなんてやるのはやめましょう。時間の無駄です。テスターも貴重な時間を割いて検査しているのでしょうし、何よりも被検者に不要な負担をかけるのは専門家としていかがなものでしょうか?
意味がないと思っているなら、オーダーが出た時点で断りましょう。それが専門家の責任というものではないでしょうか。
…で、きっとアセスメント技法そのものだったり、あるいはテストバッテリーの組み方だったりについては、いくつか文献もありますし、大学院の授業その他で色々学んでいるはずなのだと思います。ただ、心理検査所見の書き方について体系的にまとめた本って(日本語では)実は存在しないんじゃないかと思います(海外ではどうなのかってのは調べていないのでわかりません。詳しい人がいましたら情報プリーズ)。
手元にある本で近いのはこの辺ですが…

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…でも所見を書くということが目的の本ではないですね。
もし今から5年後、まだそういう本がないのであれば、いっそ私が書きましょうか(今はまだちょっと無理)。その手の本を企画している方がいらっしゃいましたら、今が狙い時ではないかと思います。そしてきっと出せばそれなりに売れると思います。
ただ、きっとその手の本をまともに書こうと思ったら、結局は「心理アセスメント論」という包括的な話になってしまうので、単著だと難しいかもですね。
とりあえず今は今やるべきことを頑張ろうと誓うロテ職人なのでした。

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