心理・精神医学本

水曜朝の読書会

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今年度も残り1ヶ月ちょっととなりました。
昨年の4月から、水曜の朝は8時から9時まで同僚医師数名とともに読書会をやっていたのですが(みんなそれなりに忙しいんで、朝しか時間がないのですよね)、「1年間ほぼ毎週でもそんなにたくさんは読めないものなのだなぁ…」とか「それでも意外に進んだよなぁ…」とか色々感慨深げなのがこちらの本。

Principles of Psychotherapy Principles of Psychotherapy
Irving B. Weiner

John Wiley & Sons 1998-08-15
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著者のWeinerはあのロールシャッハとかで有名なWeinerです。この本とかありますね。

ロールシャッハ解釈の諸原則 ロールシャッハ解釈の諸原則
アーヴィング・B. ワイナー Irving B. Weiner 秋谷 たつ子

みすず書房 2005-03
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んで、この“Principles of Psychotherapy”ですが、何かいいかって…


とりあえずものっすごく基本的なところから、先行研究の知見を踏まえつつ詳細に「心理療法とは何か?」「心理療法はどのように進めるか?」ってことが書かれております。
んで、うちの精神科は若手の先生が多いんですが、精神科診療の知識・技術についてトレーニングはなんとかできるものの、心理療法・精神療法の技術についてはなかなか学ぶ機会ってないんですよね。みんながみんな精神療法に関してSVとか受けてるわけでもないですし(つか、定期的なSV受けてる医師は少ないと思います)。
そういう意味ではこういう基礎の基礎の基礎から知ることができる本って貴重なんじゃないかと思います。
確かに精神療法に関する本自体はたくさん出てるんですが、多くは精神療法のエッセンス…もっと言ってしまえば「神髄」の部分とかあるいは「名人芸」「神業」的な部分に触れてたりしても、「患者とはどんなものか?」とか「治療者はどんなものか?」みたいな細かいところ言及してる本はすくないんじゃないかと思うんですよ。
で、若手の医師と一緒に読むには良い本だと思いチョイスし、なんとか1年間で全12章中、第6章まで読めました…っても、まだ「治療契約」の段階だったりするんですが…(これから「解釈」とか「抵抗」とか「転移」「逆転移」の話が出てきます)。
で、用語を見ていたければわかるように、筆者の立場は精神分析寄りではありますがバリバリの分析の人ではないです。引用している文献は認知行動療法とかのものも多いですし、流行の(心理療法の)効果研究なんかも結構扱われてます。
個人的にはバランスのとれた良い本なのではないかと思います。
ちなみに日本語訳ですが、前の版は星和書店から出てたのですが現在は品切れ中っぽいです。

心理療法の諸原則 (上) 心理療法の諸原則 (上)
I・B・ワイナー 秋谷たつ子

星和書店 2000
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心理療法の諸原則〈下〉 心理療法の諸原則〈下〉
I.B. ワイナー 秋谷 たつ子 中村 伸一

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星和書店/ジャンル別索引(s/05)

心理療法の諸原則(上)(1984)(品切れ)
心理療法の諸原則(下)(1986)(品切れ)

どこかの出版社の方、Second Editionの訳本出しませんか?うちの病院のチームでも何章か担当させていただきますのでどうぞご検討くださいませ(半分冗談、半分本気で)。

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