10/06/25のエントリ、ぼくのかんがえたりそうのでんししょせきに対して、「伝説の敏腕編集者」(笑)(なんだかいつもごめんなさい…でも半分本気でそう思ってたりしますよ)の遠見書房主さんからコメントいただきましたので、補足&その他考えたことなど。
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とりあえず、以前挙げた「ぼくのかんがえたりそうのでんししょせき」の条件3つ。
「強力で使いやすい検索機能」
「引用文献から元文献への直リンク」
「使いやすいインターフェース」
最近、英語の文献を読むことがちょっと多くてですね、それでこれを忘れてたってことに気づきました。
「使いやすい辞書機能」
英和・和英にプラスして、心理学・精神医学とかの専門分野の事典を統合できたりするとすげえいい感じ。この辺もソフトウェアレベルでなんとかなりそうな感じでしょうかね。
欲を言えば、「強力な翻訳機能」もあればいいんだろうなぁと思いますが、機械翻訳が実用レベルになるまでには個人的にはまだまだ当分かかりそうに思われますし、その機能を実装することで動作が遅くなったりしたら嫌だなぁって感じですので、そこまでは求めませんです。はい。
とりあえず機能に関して思いついたのはこれくらい。
あとは遠見書房主さんからのコメントを参照しつつちょこちょこと。
「強力で使いやすい検索機能」
電子書籍は,基本,PDFベースが多くなると思うので,テキスト・ベースの検索はバッチリできると思います。フォント情報もありますから,「ゴチック体を検索」なんてことも(やろうと思えば)可能でしょう。
(中略)
索引ページ作らなくていいのなら,編集者としてはラクかも。
この点に関しては、とりあえず編集者としての作業は減るわけですよね。
「引用文献から元文献への直リンク」
で,これが難しい。これは,ソフトでもハードでもなく,出版サイドの作業になります。リンクタグを埋め込むわけですが,すげえ,メンドクさそう。やったことないですけれども,想像するだに。
作業のめんどくささってのはとりあえずおいといて、これ、気になったのが著作権的にどうなの?って辺りでして。例えば学会等のウェブサイトで公表されているpdfファイルへの直リンクってのは、そもそも著作権的にオッケーなのでしょうか?
普通に考えてこのご時世に「リンクフリー」は当たり前でしょうし、もとより引用文献ってのは引用元がちゃんと明記されておりそこからの直リンクであれば著作権的な問題はなさそうな気がするのですが、その辺教えてプリーズ>詳しい人
そして問題の編集者さんの「作業のめんどくささ」ですが…電子書籍が主流になった場合に「減る作業」もかなりあるでしょうし、そうなるとこういう形で直リンクを貼るみたいな「めんどくさい作業」が増えたとしても、最終的な作業量はそんなに変わらないんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか?
この辺を考えるのに参考になると思われるのが、竹熊健太郎氏のブログのこの記事ではないかと思うです。
この記事、コメント欄も含めて必読!な感じです。
今後、電子書籍がメインになってきた場合
出版責任の代行業としての出版社は生き残るのではないか
というのが、竹熊氏の主張の一つの柱です。これはもうその通りなのではないかと思います。
そしても一つは当然
クオリティの高い本を作って売ろうと思ったら、どうしても「本作りのプロ」の力は必要になるでしょう
ということ。
電子書籍を流通させること自体は、基本、著者だけで可能であり、その場合得られた利益は著者がかなりの部分を持っていくことになります。そんな中でも「編集者と組みたい」と著者に言わせるためには、竹熊氏の主張するところの「出版責任の代行業」という役割とともに、編集者の本来の仕事としての「よりクオリティの高い本を作る」ってところも当然重要なわけですよね。
その「より高いクオリティ」というか「付加価値」的な部分として、ワタクシが挙げた「引用文献から元文献への直リンク」ってのが考えられるのではないかと思うのですよ。
さらにその元文献もAmazonさん等で購入可能な電子書籍なのであれば、直リンクで購入がさらに容易になり、それがアフィリエイトリンクになっていれば、わりと馬鹿にならない収入になるんじゃないかと思うです。そして、そのアフィリエイト収入が著者に入るのであればそれは著者にとっての「付加価値」でしょうし、編集者(または出版社)に入るのであればそれはそれで「生き残る」糧になるのではないかと思うです。
まあ確かに直リンクを貼るのは異常にめんどくさい作業になりそうですが、例えばその文献情報を元にしたGoogle検索の結果へのリンクだったら…これは相当楽に実装できるような気もします。
ってな感じでつらつらと書いてみましたが、ワタクシ的には特に専門書を扱う編集者さん方が、これからの電子書籍の時代に向けて生き残るためにどんなことを考えていらっしゃるのか色々聴いてみたいと感じる今日この頃です。
編集者さんにとっては相当厳しい時代になるのは間違いないと思いますが、それはそれで新たなチャンスだとも思うのです。
そして、その先には何か面白そうな未来があるようにも思うのですよね。