心理・精神医学本

田嶌誠一編『不登校―ネットワークを生かした多面的援助の実際』

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この仕事について既にウン年経とうとしているワタクシですが、もっぱら精神科臨床の経験しかありません。で、同業者の皆様の中には、恐らく学校臨床経験のある方も多いんじゃないかと思います…というか、学校臨床経験のない人の方が珍しいのかもしれません。

私、自信を持って言いますが、学校臨床とかできる自信ないです(自信を持ってそんなことを言うなって話ですが)。いや、やれと言われたらそりゃやらざるを得ないですし、勉強してなんとかやるんでしょうけれども、少なくとも自分から「やりたい」とはなかなか思えないのですよね。

なんでそうなのか?ってことを考えてみると、やっぱり構造的に違うんですよね。相談室にこもってばかりでは全く仕事にならないって辺りが、学校臨床の難しい点の一つなのではないかと…いや、当然、病院臨床が「こもってばかり」ってわけでは全くないんですけれども。

なーんてことをちょこっと考えされたられたのは、この本を見かけたからなのでした。

不登校―ネットワークを生かした多面的援助の実際 不登校―ネットワークを生かした多面的援助の実際
田嶌 誠一

金剛出版 2010-09
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「人間関係」といえば、どの学派でも、面接者との関係、すなわち「セラピスト‐クライエント関係」(または治療者‐患者関係)が、特別に重要なものとされている。しかし、それに限らず、生活における人間関係が重要であり、それを活用することが援助に役立つというふうに考えてみよう。家族はもちろん、教師やボランティア、半専門家や非専門家などさまざまな人間関係が重要で活用可能なのである。本書では、そうした形の援助の実際についても豊富に紹介する。

出版社のページに掲載されている「はしがき」にも書いてあるように、この本の元になったのは雑誌『臨床心理学』第5巻1号(2005年1月金剛出版刊)の「不登校」特集です。

好評につき売り切れとなった雑誌の企画に、さらに加筆修正したってことで、なかなか充実した内容になっております。

学校臨床に携わる人なら読んでおくべき一冊ではないかと思います。

ついでに、精神科臨床でもこうした視点(人的ネットワークの利用とか)は当然必要ですし、色々と使っている部分もあるとは思うんですけどね。それをさらに意識的に利用するということを考える上でこういうの読んでみるのも面白いのかもしれません。

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