心理・精神医学本

知ってますか?子どものうつ病

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意外に知られていない子どものうつ病に関する本です。

子どものうつ病―見逃されてきた重大な疾患 子どものうつ病―見逃されてきた重大な疾患
伝田 健三

金剛出版 2002-11
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最新の本ではありませんが、臨床実践で用いるには必要十分な内容を網羅した良書かと。
以下、出版社のサイトよりコピペ。

 近年,子どものうつ病が一般に認識されているよりもずっと多く存在するということが明らかになってきた。しかも,従来考えられてきたほど楽観はできず,適切な治療が行われなければ,青年あるいは大人になって再発したり,他のさまざまな障害を合併したり,対人関係や社会生活における障害が持ち越されてしまう場合も少なくない。今やこの疾患を正確に診断し,適切な治療と予防を行うことが急務となっている。
 本書は,子どものうつ病を包括的に捉えて,成因・病態,症状,分類・類型,経過・予後などについての最新知見を簡潔に述べたうえで,有効な薬物療法・精神療法,家族へのアプローチ,自殺の予防といった治療の実際を豊富な症例を挙げ具体的に詳述したものである。さらに現代社会の子どもへの影響や,“うつ” 状態が子どもにとって何を意味するかまでにも言及している。今まで見逃されてきた「子どものうつ病」を正しく診断し,治療するために必要な事柄をすべてもり込んだ実用書である。

精神科・心療内科でインテークなどされている心理職の方も多いかと思いますが、本書の「第IV部 子どものうつ病の治療」の冒頭、第11章は「初回面接の重要性――子どものうつ病治療の成否は,初回面接によって決まる――」ということで、正にインテーカーとしての見立ての腕が問われる内容だったりします。特に「因果関係を取り違えない」だったりとか「他の疾患の可能性を考慮する」なんて辺りは、どんなアセスメント面接にも当てはまることでしょう。
さらに、こうした視点は当然のことながらスクールカウンセラーにとっても必要なものであると思います。とかく発達障害がクローズアップされがちな昨今ですが、うつ病や統合失調症などの精神疾患の可能性というのも最初から否定できるものではありません。現場においては、それらの疾患について精通した上で、様々な可能性を考慮しながらのアセスメントが必要になるでしょう。
本当は成人のうつを知らないと、子どものうつを知るのは難しいんじゃないかなぁと思ったりもするのですが…ってことになるとまたある程度能力のある人じゃないとスクールカウンセラーはやっちゃダメといういつもの結論に至ってしまうのでありますが。
それに関連して危惧するのは、新しい概念を知ると全てをそれに当てはめて考えてしまう人がいることだったりしますが、その辺もあくまでも「可能性の一つ」として捉えることが重要かと思いますよ。
子どもの臨床に関わる人であれば、一読しておいていただきたい本です。

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