研究と臨床

研究について色々ともの思ふ秋

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結構前に届いた「心理臨床学研究 24 特別号 日本心理臨床学会創設25周年記念特別号」をぼへーっとしながらパラパラめくっておりましたら「第I部 特別寄稿:学会賞歴代受賞者より」の中にれーこタ…いやいや馬場禮子氏「我が学会の現在に思うこと 今こそ研究の視点を」というのを見つけて「さすがだなぁ」と思った次第でありますよ。
初期の日心臨の活動は研修と職能問題へ対応に追われていたのだけれども、なんとか体制が整ってきた今こそ、「学会」の役割に相応しく、研究の実を上げ、臨床心理学が将来に生きるために寄与することが重要という主張には首を縦にブンブン振りながら賛同してしまいました。
そして、それに関する具体的な2つの提言、「年次大会の発表演題を審査すること」「大規模研究を企画すること」の2点についても全く同意でございます。
ちょっと引用してみますよ。

大会が研修会方式で始まった名残から、演題の中には未だに大会を研修の場であるかのように理解しているものが目立つ。つまり、ケースの経過を報告するのみで、今後の進め方や関わり方について座長から助言を得ようとし、発表者の主張や見解や考察が見られないような、研修会方式の発表である。

そーなんですよね!
私が事例研究の発表を聴きに行くのを敬遠するのは、正にこれが大きな理由だったりします。どんなに座長が好きな先生でも、発表者がこんなグダグダな感じじゃ、はっきり言って時間の無駄なんじゃねーかと思うわけですよ。「研修会」だったらそれでいいんでしょうけど(いや…それはそれで退屈か)、本来は研究発表の場で事例検討するなんざぁ、座長の先生も気合い入んないんじゃねーかと思ったり。

それによって、現在多すぎる発表の数を減らすとともに、その質を高めることが出来るであろう。

うん。確かに一石二鳥ですな。問題は誰が査読するのかってことだったりしますが。その辺は発表者の方も「自分の発表は果たして研究発表なのか?」という自覚を持ってもらう必要があるかと。
大規模研究を企画することに関しては正にその通りで

学会が研究企画を募集し、研究費を提供して、大規模研究を推進することを勧めたい。

なんてのが実現できたら、それはもう大変ステキな話だとは思いますが、個人情報や倫理の問題が絡んでくると難しいこともあるだろうなぁと思ったり。
とにかく未読の人は(って未だに未読だったのって俺くらい?)読まれると良いかと思われます。歴史厨というか資格厨というか、そんな感じの文章も載ってたりして色んな意味で楽しめます。
とりあえずこういうのを見ると、自分の研究に対する在り方、臨床に対する在り方などをちょっと考えてみたいなぁと思ったりするのでした。

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