心理・精神医学本

統合失調症の正しい知識と偏見克服プログラム

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2002年1月、日本精神神経学会の理事会で“schizophrenia”の訳語を「精神分裂病」から「統合失調症」に改めることが採択され、同年6月の評議員会で賛成を得て決定されました。
その活動に取り組んでいたのが、「精神分裂病の呼称変更委員会」(委員長:佐藤光源、事務局長:金 吉晴)であり、その委員会の前身である「疾患概念と用語に関する委員会・精神分裂病の呼称を検討する小委員会」(委員長:佐藤光源、小委員長:高木俊介)によって翻訳されたのがこの本です。

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日本精神神経学会

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ちなみに呼称変更について詳しくは日本精神神経学会のサイトの統合失調症のページをご覧下さいませ。


で、この本、元々はWPA(World Psychiatric Association;世界精神医学会)の活動である「統合失調症(schizophrenia)に対するスティグマおよび差別と闘う世界的プログラム」のために書かれたパンフレットの翻訳です。
この本の何がいいかって、とりあえず統合失調症に関する知識が体系的かつコンパクトにまとまっているのが非常に良いです。
そしてそれだけではなく、タイトルにもあるように「統合失調症に対するスティグマ、偏見、差別」「そのスティグマがもたらす結果」「スティグマ、差別を減らすにはどんなことができるか」といった内容、さらに進んでスティグマや差別に対する地域プログラムの実施の実際まで書かれております。
心理教育なんかをやってる人にとっては非常に役に立つ本なのではないかと思います。
心理教育ってったらこの辺もお薦めでございますよ。

統合失調症―正しい理解と治療法 統合失調症―正しい理解と治療法
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こころの扉を開く―統合失調症の正しい知識と偏見克服プログラムの方はマーケットプレイスでしか購入できないのは残念ですが、興味のある方は早めにゲットされるのが吉かと思いますよ。
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私が今の職場に就職できた一つの要因として「単科精神科の現状を(それなりに)知っていた」ということがあったりします。大学院生さんの中では精神科や心療内科のクリニックの臨床しか知らない人たちもいるかもしれませんが、そういう人たちには是非とも読んで欲しい本だったりします(つーか、一番いいのはやはり単科精神科で実習してもらうことなんですが)。
ついでに、学校臨床志望の人たちも絶対に統合失調症は知っておくべきです。ある程度の鑑別できるくらいには(…となると、ほとんどの学生は×なんですけどね)。その入り口として今回ご紹介した本なんかは最適なのではないかと思いますよ。
興味のある方は是非どぞー。

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