スクールカウンセラー 心理学・精神医学ニュース

高校生4人に1人は「うつ状態」…の新聞記事

投稿日:

ちょっと前のニュースですが、こんなのがありましたよ。

高校生4人に1人は「うつ状態」…大分大・県教委調査YOMIURI ONLINE(読売新聞)

がっつりと全文引用。

高校生の4人に1人がうつ状態――。大分大教育福祉科学部と大分県教委が高校生の指導に役立てるため、県立高3校の生徒を対象にしたアンケートで、こんな結果が出た。

「気分が落ち込み、意欲がわかない」「空虚感や孤独を感じる」などの症状を「うつ状態」と判断したもので、同大の武内珠美教授(臨床心理学)は「結果を軽視せず、学校が対応することが大切だ」としている。(釈迦堂章太)

「心身の健康状態」を調べるアンケートで、昨年10月、1~3年生2451人を対象に実施。94%に当たる2306人から分析可能な回答を得た。

質問は「生きていても仕方がないと思う」「とても退屈な気がする」「おなかが痛くなることがある」「食事が楽しい」など18項目。「いつもそうだ」「ときどきそうだ」「そんなことはない」の三択で選んでもらった。後ろ向きな答えが高い得点配分として、合計点が基準を超えた場合、うつ状態と判断した。

うつ状態だったのは、2306人中621人(26・9%)。男女別にみると、男子が1338人中320人(23・9%)、女子が968人中301人(31・1%)で、女子の割合が高かった。

また、うつ状態だと「人に相談する意欲もわかなくなる」とされるため、相談に対する意識も尋ねた。

「相談しても、いいことがない」「話したことは他人にばらされる」「人に相談するより自分で解決したい」など17項目の質問に「非常にそう思う」「全くそう思わない」などの五択で答えてもらった。

回答結果をみると、うつ状態と判定された生徒の方が、そうでなかった生徒よりも後ろ向きな答えが多かったという。

武内教授は「うつ状態の生徒の多くが相談することに期待感を抱けず、誰にも打ち明けられずにいるようだ」と分析。「ネット社会を背景に、対面で相談することを嫌う若者が増えている。学校は相談しやすい環境を整え、解決に力を尽くしてほしい」としている。
(2011年6月9日 読売新聞)

なんか色々とツッコミどころがあるような…。

一応、大分県教育委員会のサイトは見てみたんですが、この件に関する情報はどこにもないのですよね。それとも自分が探しきれないだけ?

とりあえず、まず気になるのが「「心身の健康状態」を調べるアンケートって何?」ってことでして。これ何だろう?BDIとかSDSとかCES-Dとか、広く使われているようなものなのだろうか?それとも今回の調査のために作ったオリジナル?元があるのなら、その名前書くよねえ?

いずれにしても、質問紙調査のみで「うつ状態と判定」ってのは、それはかなりどうかと思うわけで。だいたい、これはtwitterでもちょこっとつぶやきましたが、青年期心性とかそういう概念を、同大のなんとか教授は知らないわけじゃないですよね?「生きていても仕方がないと思う」とか、「とても退屈な気がする」なんてのは、思春期・青年期にはありがちな悩みじゃないですか。それをもって「うつ状態」ってのはやっぱり…ねえ?

ちなみに関連する2ちゃんのスレまとめもあったり。

高校生の4人に1人がうつ状態 専門家「ネットのせいだ」カナ速

そして、(これまたtwitterで既につぶやいたんだけど)このスレッドタイトル、『専門家「ねっとのせいだ」』の部分はあまりにも恣意的ですわな。専門家が「ネットのせいだ」と言っているのは、「対面で相談することを嫌う若者が増えている」ことの理由づけであり…まあ、その分析もそれはそれでどうかと思うけど。

「学校は相談しやすい環境を整え、解決に力を尽くしてほしい」って、高校にスクールカウンセラーいんの?…と思って調べてみたら、大分県の県立高校にはSC派遣やってんのね。

大分県内のスクールカウンセラー配置校一覧 (PDF:111.8KB)

いるんだとしたら、ネット云々の前に、むしろ「相談しやすい環境」が整えられてない方が問題なんじゃないかと。そもそも相談の押し売りもあったりすると思うので、色々難しそうではありますが。

そんな感じでなんかかなりツッコミがいのある記事でございましたとさ。どっとはらい。

-スクールカウンセラー, 心理学・精神医学ニュース
-,

Copyright© ロテ職人の臨床心理学的Blog , 2024 All Rights Reserved.