心理・精神医学本

【心理職でも】姜昌勲著『明日からできる大人のADHD診療』【役に立つ!】

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13/11/04のエントリ、【ご恵贈】姜昌勲著『明日からできる大人のADHD診療』【感謝!】でご紹介したこちらの本。

大人のADHDは診られませんと診療を断る精神科外来が多い。本書を読めば、急増する「大人のADHD」の診療が楽しくなる。

今、精神科の外来では、「大人のADHD」の受診者が増えている。しかし、大人のADHDの治療を行っているところは、ごく一部の治療施設であり、多くのADHDの成人が、診療を受けられずに困っている。どのクリニックでも、大人のADHDの診療が行われることが望まれている。
本書は、5000例以上の臨床経験をもとに、ADHD診療の具体的なノウハウを分かりやすく解説する。医療採算性の問題も、著者の示す効率的診療など具体的工夫によって改善される。本書は、明日から大人のADHDの診療を行うための具体的な手引書である。

出版社の紹介ページでは、表紙・はじめに・目次と第1章が立ち読み可能です。

明日からできる大人のADHD診療星和書店

拝読させていただきましたので、改めて簡単に感想など書いてみたいと思います。

その前にまずは、こちらの本。このエントリを書いている2013年11月15日現在、Amazonさん精神医学のジャンル内ベストセラー第5位となっております。おめでとうございます!

確か、瞬間最大風速では1位にもなってたんじゃないでしたっけ?

とにかく売れ行き好調のようでなによりです。

さて、読んでみてまず感じたのは、何よりもとにかく「読みやすい」そして「説得力がある」ということでした。

タイトルに「診療」とあるように、当然専門家、特に精神科医向けの本ではあるんですが、一般の方でも読めるくらい平易な文章で書かれています。第1章ではアメリカ精神医学会(APA)の最新の診断基準であるDSM-5の中でのADHD概念の扱いについて書いてあるのですが、その部分も興味がある一般の人なら理解可能なレベルです。

また「説得力」という点について。筆者の発達障害全般における豊富な臨床経験に基づいているということはもちろんですが、本書の中で何度か書かれているように、筆者である姜氏自身が「発達凸凹の人」であり「ADHD傾向がある」ということは少なからず影響していると思われます。

そうした個人的経験も踏まえた上で、第5章では非常に詳しく、かつ具体的にADHD診療の進め方についてのテクニカルな部分が書かれておりますし、第7章では薬の出し方、支援の仕方、そしてデジタル機器を用いた情報管理まで網羅した「ADHD治療のためのクリニック経営のノウハウ」が記述されています。

ここまで具体的なノウハウが書かれた「使える本」というのは、専門書としてはなかなかないのではないかと思います。

医師のみならず他職種や一般の方にも理解可能なレベルで書かれており、かと言って内容が平易すぎるわけでもないです。私自身もADHDを中心とした発達障害概念、そして支援の方法について改めて整理する機会を与えていただけたと思っております。

ちょうど昨日、当ブログではWISCマシーン・WAISマシーンというタイトルで、心理アセスメントについて書かせていただきました。WAISやWISCをやるだけだったら誰にでも出来ます。それこそ心理職である必要もありません。ただ、きちんと結果を解釈し、しっかりと見立てていくためには、そこで問題になっている診断や疾病概念について理解出来ていることが前提となるんですよね。

そういった意味でこの本を読む事で得られた知識は、私が今後心理アセスメントを行っていくに当たって、大いに役立つのではないかと思いました。

今回、ご著書をお送りいただいたことで、改めて勉強させていただきましたことを感謝いたします。

今後ともよろしくお願いいたします>姜先生

そして、興味がある方は是非ともポチっとしていただけるとよろしいかと思います。専門書としては比較的お求めやすい価格ですし、間違いなく価格以上の価値ある一冊ですので。

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