医学生向けのレクチャーにて
ここ何年かちょっとご縁がありまして、医学部の学生さん向けに心理検査に関するレクチャーをする機会があるのです。
で、講義をするのはするんですが、まあ学生の皆さんは、それほど興味があるわけではないのですよね(そもそも私の話が下手だという可能性はおいといて…)。
そりゃそうでしょう。講義を受けている学生全員が、将来、精神科医になることを志しているわけでもないでしょうし、あからさまに内職してる学生がいたりするのも仕方がないとは思います。
そんなわけなので、その講義の際に私はこう言うのです。
「今日の私の話は、全部忘れてもらっても構わないですし、忘れたところで皆さんがそれほど困るということはないでしょう」
「国試(医師国家試験)で、心理検査に関する問題が出たとしてもせいぜい1問くらいでしょうし」
「ただ、今日の話の中でこれだけは皆さんに覚えておいてもらいたいということが一つだけあります」
と。
検査を受けるのは不安なこと
将来、医師になる学生さん達に覚えておいてもらいたいこと。それは…
「検査を受ける患者はみんな不安だ」ということです。
「当たり前だろう」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、でも医師にとって検査オーダーが日々のルーティーン的な作業に組み込まれることで、検査を受ける患者の不安が忘れ去られてしまう…なんてことは結構ありがちなんじゃないでしょうか。
心理検査を受けるのはもっと不安なこと
さらに私は付け加えます。
「それが心理検査ならなおさらで、自分でもよくわからない自分の内面のことが、自分以外の誰かに知られてしまうということは、そりゃあ怖いことなのです」
と。
だから、もし私の講義を聞いている学生の皆さんが、将来医師になって臨床心理士に心理検査をオーダーする機会があったなら
「指導医の先生がやれって言ったから」
なんて理由ではなく、ちゃんと
「何がわからないのか」「何を知りたいのか」
を明確にした上でオーダーを出して欲しい…ともお伝えしております。
…いやいや、私の職場の精神科医をdisってるなんてことは決してありませんです。誤解のないようお願い申し上げます。
ついでに使えない臨床心理士をdisってみる
もしまともな心理士なら、「何がわからないのか」「何を知りたいのか」を伝えれば、「これとこれをやりましょう」と提案してくるはずです。
そこで「え?何をやればいいんですか?」と逆に質問してくる心理士は、ろくなものじゃない可能性が高いです。
…ってことで間違ってないですよね?
とにかく「患者・クライエントにとって心理検査を受けるということは不安なことなのだ」という視点は、絶対に忘れてはならないよなあ…と自分に言い聞かせつつ本日のブログはお開きとさせていただきとうございます。