臨床心理学

自殺防止サイト『ココオル』が謎に満ちあふれている件

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ココオル

こんな記事を見つけました。

自殺防止サイト立ち上げ 臨床心理士の助言も大阪日日新聞

本文引用していきます。

10日から17日まで自殺予防週間が展開されている。国内の自殺者は4年連続で減少しているが、自殺対策白書によると2013年度も2万7283人が自ら命を絶っており、依然として悲劇は続いている。自殺を“撲滅”したい-。そんな強い思いで、大阪出身の起業家、丸田勝也さん(30)がインターネットで悩み相談ができるサイト「ココオル」を立ち上げた。書き込みに対し、臨床心理士のコメントが付く。ネットを活用した若年層の自殺防止対策が期待される。

「ネットを活用した自殺防止対策」というと、当ブログでも何度か取り上げさせていただきました、特定非営利活動法人OVAさんの活動、夜回り2.0が思い出されるわけですが、「ココオル」とはどんなサービスなのでしょうか?

■みんなここに

「悩む人も、わかってくれる人もみんな“ここにおる”で」。出身地の大阪弁にちなんで名付けた同サイト。最大の特長は、臨床心理士から無料でコメントや助言がもらえる点だ。

「ツイッターや大型掲示板に書き込んでいるだけでは生産性がなく、傷のなめ合いになりがち。同じような気軽さで書き込める上、自立支援や社会復帰につなげられるならもっといい」と強調する。

「臨床心理士から無料でコメントや助言がもらえる」というのはすごいですね。もちろん、臨床心理士と言ってもピンからキリまでいますので、どんな方なのかは大変気になりますが。

■頑張るつらさ

進学に否定的な環境で育った丸田さん。「一生このレベルのままではだめだ」と一念発起し猛勉強の末、同志社大へ進んだ。恵まれた環境で育った仲間と進学先で出会い「上をねたむわけでも、下を見下すわけでもなく、世の中にはいろんな事情や環境の人がいると知った」ことが大きな転機となった。

「自分は何とか頑張れたが、誰も助けてくれなかったし、一人で頑張ることのつらさがわかる。自分もちょっと違えば、悩みを相談する側だった」。卒業後、ネット上のコミュニティーパトロールを行う「ガイアックス」に入社。コミュニティーサイト運営やITのノウハウを身に付けた。

「同じような子をつくりたくない」と、うつ診断サイトを運営し、悩み相談に応じてきた。独立し「株式会社ここおる」(東京都品川区)を設立。今年8月、「ココオル」を本格稼働させた。

ふむ。かなり崇高な志の元にサービスを開始されたのですね。

■既存施策と連携

悩み投稿だけでなく、サイトに寄せられた悩みを検索できるのも特長。同じ境遇の仲間や、それに対する心理士の助言も検索できる。「一人じゃないということをまず知って」

とはいえ「うちに解決のノウハウがあるわけではない」と丸田さん。「既存の支援団体や行政のサービスを否定するつもりは全くない。ココオルはあくまで入り口。そこから、悩みを投稿してくれた人の居住地や環境にあわせ、地元行政の窓口や支援活動団体を紹介し、道筋をつけるのが重要」と力を込める。

「ネットコミュニティーを手掛けるプロとして、機械的に行政などに振り分けるのでなく、愛のあるサービスを展開できたら」と展望を語る。

さて、ここまで読んでみて、大きな疑問が浮かび上がってきました。

この『ココロル』というWebサービスは、どのように収益化する予定なのでしょうか?

会社であるということは、営利を目的とする団体なわけですよね?

上記リンク先、ココオルのサイトを見させていただきましたが、確かに少なくとも9月15日現在は全てのサービスが無料で提供されています。

とりあえずWebサービスを立ち上げるためには、最低でもレンタルサーバを借りたり、サイト作成したりとそれなりのイニシャルコストがかかります。そして、サーバやドメインの維持などにはそれなりのランニングコストがかかります。

専用サーバを立ち上げるならばランニングコストは若干少なくなるかもしれませんが、レンタルサーバを利用する場合と比較してイニシャルコストは跳ね上がりますし、サーバを動かすために電気代などのランニングコストはやはり必要となります。

そして、株式会社ここおるの所在地は東京都品川区。「SNSを活用し、コストをかけずに、優良人材を獲得できるウェブ業界最大級のソーシャル・リクルーティング・サービス」であるWantedly(ウォンテッドリー)には、株式会社ここおるも登録されているのですが…

株式会社ここおるの最新情報 - Wantedly

オフィスは「間借りしている」ということで、家賃などは発生しないのでしょうか?

しかし、どこを見ても給与などに関する情報は見つからないんですよね。

そして「最大の特長」である「臨床心理士から無料でコメントや助言がもらえる点」について。

この臨床心理士は匿名(私が見る限りでは実名は確認できません)ですが、本当に臨床心理士資格保持者なのでしょうか?そして、もし本当に臨床心理士だとしたら、なぜ『ココオル』上での活動は匿名でしなければならないのでしょうか?

さらに

この臨床心理士にはどういう形で報酬が支払われているのか?も謎です。

完全な無償ボランティアなんでしょうか?だとしたら、それはそれでご立派な話だとは思いますが、それで活動のクオリティを維持することは可能なのでしょうか?

そんなこんなで謎に満ちあふれている『ココオル』。表面に出ている情報は良いことばかりで、ワタクシとしましては正直「胡散臭い」と思ってしまいます。

ともあれ、今後どのように収益化するのか?はたまた完全無報酬の「非営利株式会社」というなんだか矛盾した存在のままいくのか?自殺防止サイト『ココオル』と株式会社ここおるさんを応援しつつ、生暖かくヲチしていく所存でございます。

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