スクールカウンセラー

SCが「臨床心理士の週一回の率の良いバイト」になってしまうことを回避するために

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昨日のasahi.comの記事にこんなのがありまして。
不登校2年連続増 文科省調査、中学生は34人に1人 - 教育asahi.com

1年間で学校を30日以上欠席した「不登校」の小中学生が07年度は計12万9254人で、2年連続で増加したことが7日、文部科学省が発表した学校基本調査(速報)でわかった。特に中学生は34人に1人にあたり、全体に占める割合は06年度に続き、過去最高を更新した。

で、この記事への言及エントリを書こうと思っていたら、同じ記事に言及してるブログがありまして。
鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座教授の井上雅彦氏(というかあそこの現任者が井上先生だということに今さら気づいたワタクシなのです)のブログ
応用行動分析学&特別支援教育探求道
の昨日のエントリ
不登校への有効な対応と改革について思うこと
です。
これが非常に良い記事で、全コピペ(=丸パクリ)しようかと思ったくらいなのですが、それはいくら何でのアレなので一部引用しつつ感想など。

SCが週一回という限定された時間の中で子どもを直接みるだけでは限界があります。各々の不登校に対する細やかなアセスメントを行ったり、先生方がどう取り組むかという研修やスーパービジョンを重視していく、つまり間接支援をしていく必要があると思います。

ですね。
もちろんここで言うところのアセスメントってのが狭義の心理アセスメントを指していることではないのは明白であり、さらに教員への研修やスーパーヴィジョンを重視していくということになると、果たして若手SCにできるのかって辺りが問題になる…
なーんて話は既に当ブログの「スクールカウンセラー」カテゴリの初期のエントリで散々述べてきてはいるわけなんですが。

またSCが「臨床心理士の週一回の率の良いバイト」になってしまうことを回避するためには、SCのスーパービジョンシステムを整え、教育委員会や学校と連携しながら結果を出していく必要があると思います。

ここですよね。この辺は逆にベテランSCで問題になってくる部分なのではないかと。
というのは、「教育委員会や学校と連携」って辺りはいいと思うのですよ。ベテランはそういうのきっと得意な人が多いでしょう(完全にイメージだけで言ってますが)。ただ、「SCのスーパービジョンシステムを整え」ってところはどうなんでしょう?ベテランはスーパーヴァイザー側に立つことが多く、「今さらスーパーヴィジョンを受けるなんて」って人も多かったりするんじゃないでしょうか(というのも完全にイメージだけで言ってます)。
この辺は過去ログの
臨床経験長いけど業績ゼロってヤバくね?(06/08/16)
臨床経験長いけど業績ゼロって人にとっての「批判されること」(07/09/03)
自己愛の傷つきを避けるために研究しない人と自己愛を満たすために研究する人(07/10/22)
辺りと関連するような気がするのですが、ぶっちゃけ業績の数とかはどうでも良くて、重要なのは「自分のやっている臨床実践に関して客観的な評価がなされる機会がどれだけあるか」ってことなのだと思います。
もしベテランSCが「今さらスーパーヴィジョン(略」と言うのだとしたら、せめて論文という形で評価を受けるか(それは自分が自分の臨床実践を評価するということにもなると思います)、あるいは井上氏が述べているように

結果を出していく必要があると思います。

様々な対応についてきちんとした評価をしながら是非を論ずる必要があると思います。

ということになるのではないでしょうか。
そして

学校の先生方が対応の主役にならざるを得ない現状では、特に中学の先生方の業務負担を軽減する事が必要なのではないかと感じています。

って辺りも考慮して、SCのシステムや教師の業務に関するシステムみたいな、構造の抜本的改革が必要な時期に来ているのではないかとも思いますよ。
・・・・・・・・・・
つか、結局のところまずはスクールカウンセラーの常勤化が必須なんじゃないかとも思うわけなんですが。もしそういう試みが一定の成果を出しているとしたら、それをある程度大々的にアピールすりゃあいいでしょうし、システムの改革みたいなところを進めていくにはそういうの必要なんじゃないかなあ…。
いやもちろん常勤化すればいいってものでもなく、行き着くところはSC自身の能力、特にアセスメント、見立ての能力なのだとは思います。
…なんて病院臨床しか知らない門外漢の意見なので的はずれだったりする部分が多々あるような気がしないでもないですが、そういう部分はご指摘いただけたらと思います。

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