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関東に住んでる人間が「子どものために」疎開することについて考えてみる

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原発がらみのあれこれも恐らく収束に向かっているであろうと考えられる今日この頃、皆様いかがおすごしですか?

さて、先日、我が家の長女が小学校に登校したところ、クラスメイト数名が西の方へ引っ越していたそうな。

私が住んでる地域は、震災発生時それなりに大きな揺れはありましたが、家が倒壊するほどではありませんでした。日本家屋では屋根から瓦が落ちたり、屋内ではガラス製品などの破損は大きかった…くらいのものでした。恐らく東京以北でしたら家の造りにもよるでしょうが、わりとそんな感じでしょう。

つまり、普段通りの生活を送る上ではそんなに支障がないはずなわけです。当然仕事の都合ってのもあるとは思いますが、この状況での転居の理由として考えられるのは、やはり福島原発の放射能の影響を恐れてってことである可能性は高いわけです。実際、私の妻のママ友とやらは、今回の事故の影響を恐れて西の方にある実家に子どもを連れていきました。それは「転居」ってわけではなく、新学期には戻ってくるそうなのですが…でもまだ春休みが始まったわけではないんですよ。

正直なところを言うと、現状で関東に住んでいる人間が、原発事故の影響を恐れて「子どものために」疎開するのって、はっきり言って「教育(を受けさせること)の義務」の放棄であり、子どもの「教育を受ける権利」を剥奪していることなのではないかと思うのです。

震災発生から10日が経過した3/21現在、ようやくテレビ放映のスケジュールは通常通りに戻りつつありますが、それでもどこかのチャンネルで必ず震災関連の番組は放映されていますし、テレビ画面上L字型に区切られた一角では常に関連情報が流れ続けています。そういった情報を常に取り入れることで、不安と恐怖が増していく…という感覚は非常によくわかります。さらに、テレビはそうした恐怖心や不安感をひたすら煽るような報道の仕方をしてますから、まあ仕方ないっちゃあ仕方ない部分もあります。

んでも、少なくともネットが使える環境さえあれば、いくらでも情報を取り入れることは可能なはずです(それができない人はお気の毒としかいいようがないのですが)。

先日来、関連情報はつぶやきつづけておりますが、とりあえずこの辺の情報は大変参考になると思いますです。

「退避すべきかとどまるべきか」放射線被ばくを深く心配されている方々へ(2011年3月17日午後時点の情報を踏まえて)ガジェット通信
放射線は「甘く見過ぎず」「怖がりすぎず」 八代嘉美SYNODOS JOURNAL
福島原発の放射能を理解する カリフォルニア大学のモンリオール(B. Monreal)氏による講演のスライド
「最悪のシナリオ」という脅しに騙されないためにガジェット通信
放射能漏れに対する個人対策 スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF) 山内正敏

この辺の情報プラス現在の放射線量やその他様々な要因を考慮した上で、それでも「疎開せねば」と思うのならば、それはそれで仕方ないです。「退避すべきかとどまるべきか」放射線被ばくを~の記事中、東北大学名誉教授の北村正晴氏はこのように述べています。

このように説明をされてもなお心配される人も多いでしょう。特に幼いお子さんを抱えておられる方は、一層心配が大きいと思います。大きな困難なしで遠距離に避難できる方は避難するという選択肢も合理性はあると思います。心理的不安が低減することにも健康上の意味があるとも思います。

しかし同時に以下のようにも述べています。

一方でその移動過程や避難先で、別の心理ストレスが高まって母子に悪影響がある可能性も無視できないと思います。

そうなんですよね。

上記のような情報を考慮した上で、それでも疎開しようなんてのは、私からすると単なる「親のエゴ」としか思えません。そのエゴによって、子どもの「教育を受ける権利」が剥奪されているわけです。そしてそれだけでなく、疎開することによる子どもに対する心理的な影響も考えねばならないでしょう。

私の長女は、クラスメイトが突然いなくなってしまったことに対して大きなショックを受けていました。友達が転校するということですら子どもにとっては大きな喪失体験になりうるわけですが、それが「突然」となるとなかなか上手に「お別れ」するのは大変ですわな。そしてそれは去っていく方の子どもの側にも言えることなのではないでしょうか。

ちなみに上に挙げた情報は、私が「それなりにバランスがとれている」と判断したものですが、ネット上ではよりネガティブな情報はいくらでも見つけることが可能です。考えてみれば当たり前で、現在ってのは「反原発」派にとっては絶好のチャンスなわけですよ。で、我々素人にとって原子力や放射線の「専門家」が書いた内容の真偽を見極めるのは難しいかもしれませんが、ネットがあればそれが「どんな立場の」専門家によって発せられている情報なのかを判断することはある程度可能なわけです。つまり「反原発」派の「専門家」によって発せられる、彼らにとって都合のいい情報は遮断することもできるのです。

そんなこんなで、とりあえず情報の洪水に翻弄されることは避けたいものです。我が家では妻が不安になるので、ここ1週間はアニメやバラエティ以外のテレビ番組の視聴を禁止してます。情報収集はPCとあとはラジオくらいで十分です。

そして出来る限りいつも通りに過ごすことを意識しています。それが子どもの不安を軽減する一番の方法だと思うので。少なくともそれほど大きな被害を受けなかった地域にいる我々は、できるだけ冷静に行動することが必要だと思います。

最後に上記リンク先、福島原発の放射能を理解する カリフォルニア大学のモンリオール(B. Monreal)氏による講演のスライドより。

チェルノブイリにおける最悪の一般公衆への影響はストレスと恐怖であった。教育と情報周知に失敗した。
我々は情報を持っている。mSv を数えてどのように対応するか決めよう。

とにかく冷静に行動しましょう。

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