心理・精神医学本

【発売日に】須田史朗・小林聡幸 著『キャラクターが来る精神科外来』【買った】

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キャラクターが来る精神科外来

ご紹介しなければならない & 是非ともご紹介したい書籍が大量にある中で何なんですが、最近、発売日に購入したこちらをご紹介でございます。

ルフィはADHD? エヴァのアスカはパーソナリティ障害!?
アニメや漫画・映画などの物語、歴史上の人物がもし精神科外来に訪れたら、どのようにアセスメントし、診断を下すかをテーマに全38のキャラクターを精神分析。自治医科大学の医学生の診断レポートをもとに、教員が真面目に考察してみた。精神科における診断のプロセスを楽しく学べる一冊。精神科医のみならず、心理学に興味のある方にもオススメ。

出版社の紹介ページはこちら。目次や序文なんかが見られますよ。

キャラクターが来る精神科 紹介ページ


あの有名作品のキャラクターを精神分析!」的な本、しばしばありますよね。そういうのって大概、「有名な先生」(自称・他称を含む)が書いているわけなのですが、本書がそういうのと一線を画しているのは「医学部の学生が診断している」というところだったりします。

それってどういうコンセプト?というところがあるんですが、そもそも著者らが所属する「自治医科大学」という大学の特殊性について知らないとわからないところなんじゃないかと思います。

自治医科大学(じちいかだいがく、英語: Jichi Medical University)は、栃木県下野市薬師寺3311-1に本部を置く日本の私立大学である。

めっちゃ公立大学っぽいのですが、実は私立大学なのです。

名目上は学校法人自治医科大学が設置する私立大学となっているが、実際は旧自治省行政局(現・総務省自治行政局)が主導して設置された事実上の公設民営大学の私立大学である。元総務事務次官が理事長を務め、総務省の自治系職員が大学に出向し事務局を統括。栃木県庁からも職員が出向している。

なんでこんな感じの特殊な組織になっているのかというとですね…

1972年(昭和47年)、僻地医療と地域医療の充実を目的に設立された。

入試面では私立大学らしく大学入試センター試験には参加しない大学独自の方法で行うが、医学部ではその設置趣旨のため、都道府県の定員枠(2名ないし3名)により選抜するという異色の方法をとる。

卒業後は採用枠都道府県の定めにより、公立病院を中心に9年間地域医療に従事することが求められている。9年間には、採用枠都道府県に所在する臨床研修病院・大学病院で行う2年間の臨床研修、2年間の後期研修、4年半の僻地診療所・病院での勤務を含む。6年間の学費は2,200万円程度だが、在学中は貸与され、卒業後9年間、指定された公立病院に勤務した場合、学費返還を免除される。

まとめますと、地域医療(僻地医療)に従事する医師を養成するための大学であり、それゆえに「各都道府県ごとに何名」という形で定員が決まっている、と。卒業後は出身都道府県に戻って9年間のお礼奉公をするわけなのですが、それをすることで6年間の学費、2200万円がチャラになる、と。

学費タダで医者になれちゃう!おトク!ということなのですが、それってつまり、初期研修的なことはあるにせよ、僻地に行ったら全ての診療科の疾患を診れなきゃいけない、となるわけなのです。つまり一定の人口あたり一定数の精神疾患患者というのは存在するので、当然、精神疾患に関する知識は必須となるのです。なんなら僻地に行ってしまうと、今、この時代であっても一度も医療機関に罹ったことのない未治療の統合失調症患者なんかがいたりするらしいです。

その上で出版社の紹介ページにある「序文」を読めば、この本のコンセプトがよくわかります。

コロナ禍の中で医学生の病院実習ができなくなってしまい、その結果、学生が実際に精神科の患者さんにお会いする機会が奪われてしまったわけですね。そんな中で病院実習に代わる課題として著者の一人である須田氏が提案したのが「物語や歴史上の人物を精神科診断させるレポート」課題だったのです。

その行為自体に対して何らかの問題を感じる方は、まずは小林氏による序文を読んでみてください。それでも納得できない方は、書店であとがきを読んでみてください。須田氏によるあとがきは書き出しがイカしています。「大人の事情による配慮の行き届いたデフォルメイラスト」という表現はなんかはさすがですね。

一見、突拍子もない内容に思われるかもしれませんが、中身を読めば医学生が真面目にレポート課題に取り組み、医学部教員が真摯にコメントをするというやりとりがなされているのがわかります。そして、とっつき易い素材だというのもありますが、我が家の高1の次女(ガチヲタ気質の持ち主)程度の読解力で大変楽しく読める内容となっております。

序文の最後の段落にはこう書かれております。

本書は医学生や研修医にはもちろん、精神科に興味を持つ一般の方々、歴史や物語を別の視点から楽しんでみたい方にも読んでいただければと思う。

『キャラクターが来る精神科外来』 p.viii より

もちろん医療だけでなく様々な領域で働く心理職の皆様や心理系の学生にとっても面白く、そして勉強になる1冊だと思います。

興味がある方は是非ともポチっとどぞー。

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