心理・精神医学本

井原裕著『激励禁忌神話の終焉』

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最近、こんな本が出ました。

激励禁忌神話の終焉 激励禁忌神話の終焉

日本評論社 2009-09
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獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授である著者による、雑誌『こころの科学』での連載「都市型臨床の時代」をまとめたものです。
出版社のサイトよりコピペ

うつ病は励ましてはいけないのか、精神科の治療にくすりは必須か――これまでの精神科医療の常識をくつがえす、関係者必読の書。


目次はこちら

第1章 激励禁忌神話の終焉
第2章 仕事こそ「諸悪の根源」か
第3章 うつ病の反逆――「ふざけやがって、この野郎!」
第4章 ストーリを読むか、猥雑性を避けるか
第5章 スポーツとしての精神科臨床
第6章 超短時間精神療法の経済倫理
第7章 精神科医は薬のソムリエにあらず
第8章 くすりに依存しない治療
第9章 リストカットの臨床
第10章 接遇に慎重な配慮を要する人々
第11章 危機管理と精神科医
第12章 旅立つ人に何を語るか
第13章 こころのジェネラリスト
第14章 宮本忠雄への手紙

標題ともなっている第1章「激励禁忌神話の終焉」をちょこっと読んでみましたが、なかなか面白かったですよ。
「うつ病の患者を励ましちゃいけない」的なことはよく耳にしますが、この辺は医師国家試験の問題としても出題されているそうで。そういう試験的な観点からすると「うつ病患者にとって激励は禁忌である」という命題は正しいってことになるわけなんですが、筆者は真っ向からそれに反論しております。
いわゆるメランコリー親和型の場合にはそれは当てはまるでしょうけれども、んなこと言ってたら認知行動療法の実践においては「激励」と言えるような介入は随所で必要となるはずであり、そうなると「認知行動療法はうつ病には禁忌である」ってことになってしまうぞ、と。
そして、そもそも医師国家試験でそのような問題が出ていることが、精神科領域以外の現場にいる医師を萎縮させる要因となっている、みたいな感じで。
私も常々それは思ってきたことなので(というか、実際に色々なところで言われていることだと思いますが)、結構諸手を挙げて賛成!って感じでございました。
各章はそれほど長くはないですし、ちょっと時間が出来た時にサクっと読める感じだと思います。
興味のある方はどぞー、です。

そして順位確認後、戻ってきていただけるとうれしゅうございます学問・科学ランキング

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