そういや、このシリーズを紹介するのを忘れてました。
心理測定尺度集〈1〉―人間の内面を探る“自己・個人内過程” 山本 真理子 サイエンス社 2001-07 |
心理測定尺度集〈2〉人間と社会のつながりをとらえる“対人関係・価値観” 吉田 富二雄 サイエンス社 2001-07 |
心理測定尺度集 (3) 堀 洋道 サイエンス社 2001-08 |
ロテ的お薦め対象:これから研究をする学部生その他;心理学の研究に使える本
これは使いようによっては非常に役に立つ本です。
このシリーズでは、これまでの多くの研究の中で作成され、妥当性・信頼性が確認された様々な尺度が掲載されています。
具体的内容としては
・第I巻「自己の内面を探る <自己・個人内過程>」…
自己概念、自己知識、自己評価、自尊感情、自我同一性、自己開示・自己呈示など自己に関するもの、ジェンダー・性役割、認知判断傾向、感情・気分に関するもの
・第II巻「人間と社会のつながりをとらえる <対人関係・価値観> 」…
他者への認知・他者への好意、動機づけ・欲求、対人態度、対人関係、対人行動、社会的スキル、集団・リーダーシップ、産業・職業ストレス、進路選択、価値観・社会的態度、ライフスタイルなど
・第III巻「心の健康をはかる <適応・臨床>」…
ストレス、適応とライフイベント、ソーシャル・サポート、抑うつ・不安、人格障害と問題行動、看護と心理、学校・教育、学習など
など、合計150以上の心理尺度が掲載されています。
使いようによってはかなり便利な本ですし、これから卒論の調査など考えている人などは目を通しておくと非常に役に立つかとは思います。
…が、ここからが大事です。
特にこれから卒論に臨む学部の4年生、あとろくに研究をやったことがないアフォ臨床系院生に特に聞いてもらいたい。
この本からAという尺度とBという尺度を持ってきて、ある群を対象に実施して、それらの関係を見ました~…
なんてのをやれば、研究(っぽいもの)はできると思います。
でも
そんなもん研究でも何でもないですから!
※以下、「そんなことは常識だろう」という人もいるかもしれませんし、指導教員の先生に既に言われていることかもしれませんが、是非とも言わせてください。
これから研究しようと思っている人。
まずは「自分が何を知りたいのか」「自分が見ようとしているものは何なのか」について、関連しそうな先行研究を見ながらじっくり考えましょう。
あなたが扱おうと思っていた「A」という概念よりも、実は「B」という概念の方が実際に知りたいことに近いかもしれません。
その辺をしっかり考えた上で、この本を開いてみましょう。
ひょっとしたら使える尺度が載っているかもしれません。
もし使えそうな尺度が見つからなかった場合、また他を探してみるのもいいですが、どうしてもなかったら自分で尺度作ってみましょうよ。
それだけでも一つの立派な研究です。
あと質問紙法にこだわることもないと思います。
必要であれば、実験だったり面接だったりをするといいです。
研究って辛いですけど、ちゃんとやれば面白いと思えることもあると思います。
安直に「この尺度とこの尺度使って、チャチャっと調査して…」なんてことはやらない方が今後のあなたのためになる…かもしれません。
ついでに質問紙法をやるならこの本もお薦めです。
心理学マニュアル 質問紙法 鎌原 雅彦 大野木 裕明 宮下 一博 中沢 潤 北大路書房 1998-05 |
ロテ的お薦め対象:これから研究をする学部生その他;心理学の研究に使える本
この本、とにかく実用的で必要なことが簡潔にまとめられてます。
質問紙の作成の仕方だけではなく、教示文・説明文や、調査依頼をする際の依頼文なども文例が載っていたりして、とにかく使える本です。
大変お薦めでございます。
同じシリーズで
心理学マニュアル 面接法 保坂 亨 大野木 裕明 中沢 潤 北大路書房 2000-03 |
心理学マニュアル 観察法 中沢 潤 南 博文 大野木 裕明 北大路書房 1997-04 |
心理学マニュアル 要因計画法 後藤 宗理 中沢 潤 大野木 裕明 北大路書房 2000-11 |
心理学マニュアル 研究法レッスン 大野木 裕明 中沢 潤 北大路書房 2002-09 |
などなど、やりたいと思っている研究のスタイルに合わせて読まれてみるとよろしいのではないかと思いますです。はい。
ちなみに私は「心理測定尺度集」は全て持ってますが、最近では自分が使うというよりも、看護師さんから研究の相談をされてその時に「こんなんありますよー」と説明するのに役に立ってます。
とりあえずこれから卒業研究をする人たちにはきっと役に立つ本ばかりのはずです。
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