「いまさらこの話題？」って方はスルーしてくださって結構でございます。でも吉村医院や吉村正医師のことを知らない人、あるいは知っていて信奉している人なんかには是非とも読んでいただきたい。
先日、某所でこちらの本が激賞されておりまして。
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「幸せなお産」が日本を変える (講談社＋α新書)
講談社 2008-04-18 |
自然なお産は喜びに満ち、輝く未来を作る 医療による人工的出産こそが、母子の幸せを奪っている！命を懸け、２万例の自然分娩に取り組んできた産科医が、産科学の誤り、現代社会の問題を痛烈に批判する。
あ、この本。買わなくてもいいですよ。ワタクシ的には「逆お薦め本」です。
カスタマーの評価は絶賛の嵐とちょびっとの批判って感じですが、なんつーか宗教書みたいなもんですよね。そう。「宗教」なんですよ（そして吉村氏もそう断言してたりするらしい）。宗教論争ほど不毛なものはないですからねえ。
…で何のことかわからない方はまずはこちらをお読みください。
・[医学][トンデモ]信仰と狂気～吉村医院での幸せなお産（NATROMの日記）
・吉村医院の哲学（NATROMの日記）
・幸せなお産とは思えない。（Ayame's Workplace Diary）
・「自然なお産」が「不自然」である７つの理由（kobeniの日記）
時間がある方はコメント欄も含めてきっちり読んでいただくと、より一層味わい深いですよ。
ちなみに2ちゃんの関連スレッドも。
敢えて批判的な内容のリンク先ばかり挙げてみましたが、もちろん信者も多いです。「吉村医院」とか「幸せなお産」でググってみれば、バンバン出てきますので見たい方はどぞー。
とりあえず上のリンク先さえ見ていただければ、もうワタクシの言いたいことはないです。そのままです。
適度な運動だったり、食生活に気を使ったりすることはそりゃ大事ですよ。妊婦さんそれぞれがやれる範囲でやりゃあいいです。でも、吉村医院でやっていることは明らかに生命の危険を伴っているわけですよ。もちろん、近代医学を持ってしても一定の危険は伴うのですが、わざわざその危険を高めているのですよ。
で、親が自分の命をかける分には勝手にしてくださいなって感じではありますが、生まれてくる子どもには選択権はないのですよね。自己満足のために子どもを生命の危機にさらすってどういうことなんすかね？
最初に挙げたその「激賞」してる方は
> 吉村医師が正しいかどうかの議論ではなく、どの部分に賛同でき、
> どの部分が腑に落ちないかの話だと、
> 有意義なやりとりができるのではと思っています。
とおっしゃっておりますが、それだって上のリンク先にはほとんど書かれているでしょう。それを読んだ上で
> プラスとマイナスの総量で言えば、本書が世に出た意義は
> 十分にプラスだと思っています。
> そのようなことから、少なくとも本書で批判しているような
> 産科病院と比べれば、吉村医院は「本物」に感じました。
とおっしゃっているのであれば、正直お話になりません。
そりゃあ、バリバリの詐欺師の話だって、賛同できる部分はあるでしょうし（むしろ賛同できるようにするでしょうからね）、腑に落ちない部分もあるでしょうよ。で、批判されるべきところは当然批判されるべきだし、その批判を読んだ上でまだこの本について
> 妊婦だったら必読だと宣伝しまくりたいですね
と言うのなら、それは「盲信」としか言えないです。
既に述べたように、胎児や母体を危険にさらす可能性が高いだけではありません。「自然なお産」を選択できなかった場合に、それをもって「幸せなお産ができなかった」と思ってしまう母親だっているかもしれないじゃないですか。ただでさえ精神的に不安定になりがちな時期にそういう思いをさせるのは、臨床心理職を生業としている人間としてどうかと思いますよ…というかそれ以前に「人として」どうかってことかもしれませんが。
そんな感じで議論するだけ時間の無駄だと思ったので、今回は敢えてリンクは張りませんでした。何卒ご了承くださいませ。
…とは言え、私は取りあげられている本は読んでないんですよね。もう上記リンク先の情報だけで十分というかお腹いっぱいなんですが、読まないで批判するのも何なんで…とりあえず図書館で探してみたいと思います。そして読んだらレビューするかもしれませんが、時間の無駄だと思ったら書かないと思います。
繰り返しますが、この本。買わなくてもいいです。絶賛「逆お薦め本」ですから。