心理・精神医学本

栗原和彦著『心理臨床家の個人開業』

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ちょっと前に出た本ですが、Amazonさんの在庫があるときに紹介しよう!と思いつつ、ずっと「通常1~3週間以内に発送します」状態が続いているのでしびれを切らしてご紹介。

そんなこんなで既に手に入れた方もいらっしゃるかもしれませんが、出す本出す本外さないあの遠見書房さんから出ましたこちら。

開業心理臨床と心理面接実務のすべてがここにある

「……この本の読者には,開業という領域への,見えないからこその関心や,見えないからこその理想化を一旦棚上げして,むしろ,今携わっておられる職域,今目の前の臨床の現実との比較において,本書を読んでみてほしい。そうすることで,読者のそれぞれが自分の臨床を振り返ることができる。私の役割は,私の限られた経験から考えたことを,その一つの叩き台として提示することにある。この本をそんなふうに使って頂けたら嬉しい」(本書「はじめに」より)

著者はこの業界にいる人間で名前を聞いたことがない人はいないであろう、あの「代々木心理相談室」の栗原和彦氏。

遠見書房 発行人ブログ「チラ裏」の5月15日のエントリ、新刊・「心理臨床家の個人開業」出しますではこんな風に書かれておりますよ。

いい本ですよ,これは。というか,本書を出すことで,遠見書房は明日つぶれてしまっても,心理学史の一隅に名を残すかもしれません。それくらいのインパクトのある内容です。このレベルの本は,10年に一度出るか出ないか,ではないかと思います。

450ページに迫り,4830円(税込)という価格ですが(高くてすいません。でも,けっこうがんばって安くしました),買って損はございません。そういいきってしまいます。

これはすごい雰囲気がビンビン漂っているではないですか。

遠見書房さんのサイトの詳細ページではこの本の目次および「はじめに」「おわりに」が読めます。この目次の項目を見るだけでどんだけ内容が詰まっているかがわかりますよ。

私は正直なところ、開業する気は全くありません。少なくとも現在の自分では能力的に無理だと思っています。それは心理臨床の能力だけではなく、経営の能力も含めて。

私事になりますが私の父は長らく自営業をやっておりまして、そういや今年で創業30周年になるらしいんですが、父を見ていると自営がどれだけ大変かというのは身にしみてわかります。恐らく夜逃げの危機っぽい状況もあったのではないかと思います。基本的に勝負弱い私はそういう状況には耐えられません。そんな感じなので、やっぱり自分には無理だと思うわけなのです。

ただ、そんな私でも個人開業に必要とされる心理臨床の能力や経営の能力がどんなものなのかは個人的に大変気になります。

この本を読むことでどんな能力が必要とされるのか、そしてそれを備えた上でどのように運営していくことが重要なのか、その一端を垣間見ることができるのではないかと思います。

で、恐らくこの本に記載されていないであろう内容で私が大変気になるのが、経営が軌道に乗っている状態の心理臨床の個人開業におけるバランスシートってやつです。通常、株式会社であれば公表されているはずなのですが、筆者の代々木心理相談室は…公開してないですよね?どんなビジネスモデルを立てればうまくいくのか、その現実的なところが知りたいです。

あともう一つ。「うまくいかなかった心理臨床家の個人開業は、なぜうまくいかなかったのか」も知りたいです。その辺のぶっちゃけ話に関しては野次馬的な興味も含めて読んでみたいなあと思ったり(でもそんなの公表する人はいないだろうなあ…)。

そんなこんなで、将来開業したいと思う人や現在既に開業している人に限らず、「心理臨床家として生計を立てる」ためのノウハウは色々とつかめる一冊ではないかと思います。マニュアル的な意味だけではなく、もっと本質的なところに関しても。

購入された方も多いかと思いますが、まだ持っていないけど興味があるって方はポチっとどぞー。

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