資格問題

臨大協見解に対する日本臨床心理士会資格法制化専門委員会からの「意見書」が出されたよ

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10/05/18のエントリ、日本臨床心理士養成大学院協議会理事会による一資格一法案に対する反対声明について、そして翌日の一資格一法案に対する反対声明の件でちょこっと補足で取りあげました、日本臨床心理士養成大学院協議会(以下 臨大協)が出した声明。

ネットでは話題となっておりましたが、本日、日本臨床心理士会からもそれに対する「意見書」が出されましたよ。

お知らせ l 一般社団法人 日本臨床心理士会 臨大協見解に対する当会資格法制化専門委員会からの「意見書」について

具体的な内容はこちらから。

資格法制化専門委員会からの「意見書」(PDF)

なかなか的確なツッコミなのではないかと思います。

詳細はリンク先を見ていただければと思いますが、とりあえず要点は以下の6点について、臨大協の事実誤認とそれに関する解説という感じ。

(1)3団体について

これは当ブログでも触れましたが、単純な誤りです。そして、これまでの3団体における経緯について若干の解説が加えられておりますよ。

(2)「見解」にある「日心連」の「2006年からの国家資格化に向けた動き」について

日心連(日本心理学諸学会連合)の考える資格像について…ですかね。個人的には「心理学検定」についてその理念が詳しく述べられているところがグッドです。この辺は私も誤解しておりました…てか、心理学検定については公開されてる情報少なくないですか?

(3)「二資格一法案をベースとして」について

これ、冒頭部分をちょっと引用しますが

「見解」では、「この文言が何を指すのか、まったく不明である」、としています。現在の臨床心理士をそのまま国家資格化する、ということ以外は許容しない、とする立場から見れば、この文言の意味について考案すること自体が無意味なことかもしれません。

いい感じで皮肉が利いています。

以降、「ベースとする」の意味するところが詳しく述べられております。

「見解」が述べる日本心理臨床学会の“推進採決動議の否決”という表現も、賛成7、反対8、保留4という数字をみれば、学会が決議のルールとしている出席理事の過半数に賛否いずれも満たない数字ですから、否決という表現は適切ではありません。

この辺もなかなか興味深いというか、自分は気づかなかったっす。

(4) 受験資格に関わる「見解」について

現在の臨床心理士は大学院のみの養成であるわけですが、改めて学部心理学教育を土台に据えることは、二資格一法案で既に論及されていますので、「大学院協議会と認定協会以外の者は改めて学部教育に論及すべきでない」、という論旨は了解困難です。

ですね。

(5)臨床4団体の調整について

臨床4団体会議は、これまで議論の内容が開示されてきませんでしたが、今後はこれを会員に公開して、臨床心理業務がおかれている現実を踏まえた実のある議論を行うことが望まれます。

そのとーり。むしろ何で今まで開示されてこなかったのかが不明。その辺はちゃんと明らかにしてほしい。

(6)臨床心理士会および臨床心理士の自覚について

人間は一定の場所や状態にとどまるものではなく、資格制度というような人為的なものは、そのあり方を絶対化する思想の対象となるとき、その制度は衰退に向かうのではないでしょうか。

よく言った。

繰り返しますが、私は「現行の臨床心理士資格がそのまま国家資格にスライド可能」と本気で考える人の頭がアレなんじゃないかと思います。

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そんな感じで、なかなか読み応えがあり、かつわかりやすい内容だったと個人的には思うんですが、皆さんどうでしょ?

この「意見書」に対する臨大協のレスポンスはあるんでしょうか?そして、何らかのレスがあるとしたら、どんな形になるんでしょうか?

臨大協がその考えを変えないとしたら、泥仕合の予感大なわけですが、まあそうなった場合には臨大協が置き去りにされるだけでしょうねえ。

とりあえず、今後の動きに注目したいと思います。

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