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久しぶりに見た『火垂るの墓』があんまり面白くなかった件

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今日、久しぶりに見たんです。『火垂るの墓』。TSUTAYAで借りて。

直木賞を受賞した野坂昭如の同名小説を高畑勲が映画化し、『となりのトトロ』と2本立てで公開された戦争アニメ。戦時中の日本を舞台に、両親を亡くした幼いふたりの兄妹が懸命に生きる姿を描く。インタビューほか、特典映像も多数収録。

私、この映画苦手なんです。泣いちゃうから。

でもまあ、子ども達は見たことなかったし、教育的にもいいかなあと思って一緒に見てみたんですよ。

そしたら…

…そんなに泣けなかったし、そもそもあんまり面白くなかったのです。

ほたる
photo credit: plj.johnny/潘立傑 via photopin cc

ちなみに一緒に見ていた(というか買い物から帰ってきて途中から見てたんですんが)妻も同様に「あんまり面白くなかった」と言っておりました。

なんでかなあと考えてみたんですが、結局のところリアリティに欠けるというところに尽きるのかなあと思いました。

いや、もちろんフィクションだというのは知ってますよ。原作は作家の野坂昭如氏の体験を元にした直木賞受傷作品ですよね。

『火垂るの墓』(ほたるのはか)は、野坂昭如の短編小説。野坂自身の戦争原体験を題材に、浮浪児兄妹の餓死までの悲劇を独特の文体で描いた作品である。

火垂るの墓 - Wikipediaより

一番気になったのは、主人公清太の行動原理というか、「なんでそうなるの?」って感じがしたです。

あと、いくらなんでも、巡洋艦の艦長の息子があんなことにはならんだろう、と。

…思ったんですが、実は既にその辺は色々言われているらしいです。

『火垂るの墓』誰の犯した罪と罰法華狼の日記)より

巡洋艦の艦長の息子は絶対に飢え死にしない。 それは戦争の本質をごまかしている。 それは野坂昭如が飢え死にしなかったように、絶対飢え死にしない。 海軍の士官というのは、確実に救済し合います、仲間同士だけで。……それは高畑勲がわかっていても、野坂昭如がウソをついているからしょうがないけれども。 戦争というのは、そういうかたちで出てくるものだと僕は思いますけどね。 だから、弾が当たって死ぬのもいるけれど、結局死ぬのは貧乏人が死ぬんですよ。

『火垂るの墓』と宮崎駿 - kamane

『火垂るの墓』の清太少年は、私には、まるで現代の少年がタイムスリップして、あの不幸な時代にまぎれこんでしまったように思えてならない。そしてほとんど必然としかいいようのない成行きで妹を死なせ、ひと月してみずからも死んでいく。
中学三年生といえば、予科練や陸軍幼年学校へ入ったり、少年兵になる子供もいた年齢である。
しかし、清太は海軍大尉の長男でありながら、全く軍国少年らしいところがない。空襲で家が焼けて、妹に「どないするのん?」と聞かれ、「お父ちゃん仇とってくれるて」としか答えられない。

清太のとったこのような行動や心のうごきは、物質的に恵まれ、快・不快を対人関係や行動や存在の大きな基準とし、わずらわしい人間関係をいとう現代の青年や子供たちとどこか似てないだろうか。いや、その子供たちと時代を共有する大人たちも同じである。

『火垂るの墓』情報まとめ « スタジオジブリ非公式情報サイト【ジブリのせかい】 宮崎駿・風立ちぬ・かぐや姫の物語情報

ですよね〜。

いや「戦争って悲惨」ってのを描こうとしてるのもわかるんですが、もっと悲惨なことになっていた実在の子ども達もいただろうし、逆に上で述べたように清太と節子、特に清太のリアリティのなさがやっぱり甚だしいのだと思いました。

ある意味『耳をすませば』と同じくらいリアリティに欠けるな、と。

反面、映像的にはもの凄いリアリティが貫かれているのですよね。

その原因は「徹底したリアリズムと独自のこだわり」にあるという。例えば、映画の中に”パンを食べるシーン”があったとすると、宮崎監督の場合は「そのパンが美味しそうに見えるかどうか?」に注意して演出するそうだ。しかし、高畑監督は「そのパンの原材料は何か?どこの国で作られたパンなのか?」という部分にまずこだわり、徹底的に本物を調べ抜くらしい。

当然、『火垂るの墓』でもこの完全主義が災いし、スタッフは大変な苦労を強いられるハメになる。ある時、空襲シーンをチェックしていた高畑監督は「B29の飛んでくる方向はこれで合っているのか?」ということがどうしても気になってしまった。そこで、当時の記録を全部調べ上げ、主人公の清太の家から見上げた時、「この日のこの時間、B29は間違いなくこっちから飛んで来た」ということを確認した上で、ようやくOKを出したという(ダメだった場合は全部描き直しになる)。

ひたすら映画を観まくる日記アルティメット・エディション : 今明かされる『火垂るの墓』の制作秘話!

その辺のキャラクターのリアリティの乏しさと、高度な映像上のリアリティのアンバランスさも、さらにリアリティの問題に拍車をかけていたのではないかと。

そんな感じの一日でございましたとさ。

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