資格問題

日心臨の「公認心理師」(仮称)受験資格教育カリキュラム案と臨大協の抗議文書

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ペンとノート

「公認心理師」(仮称)受験資格教育カリキュラム案

このブログを読んでらっしゃる多くの皆さんは知ってたかもしれませんが、日本心理臨床学会のウェブサイトに、5月2日づけで “「公認心理師」(仮称)受験資格教育カリキュラム案”というPDFファイルがアップされております。

「公認心理師」(仮称)受験資格教育カリキュラム案(※PDF注意)

遅ればせながら、まずはその内容についてちょこっと見ていこうかなと思いました。

中身は「学部教育」と「大学院教育」の2つに分かれており、6年間の課程を前提としたカリキュラム案になっております。

学部教育カリキュラム案について

まずは学部の方ですが…まあ、「A 基礎心理学関連科目」「B 発達・教育心理学関連科目」「C 社会・産業心理学関連科目」「D 臨床心理学関連科目」と、心理学の各領域をまんべんなく…という感じでしょうかね。私はそれなりにバランスが取れてると思います。

興味深いのは「E 隣接領域科目」の備考に書かれている

選択必修 ただし、医学概論、精神医学概論のいずれか 1 科目を必修とする。

の文言ですね。当然と言えば当然なのですが、医学または精神医学の基礎的な知識は必須であるということが強調されているのではないかと。

そして、気になるのは卒論に関する記述がないことです。私にはその意味がわかりません。ひょっとして「他学部でも単位数さえ満たしていればオッケー」にするための布石でしょうか。逆に言えば、卒業研究を受験要件単位にしてしまえば、建前上は「他学部卒でもオッケー」であろうと現実的には不可能になるので、むしろいいんじゃないかと思ったり。

大学院教育カリキュラム案について

さて、次に大学院の方ですが…こちらはもう基本的に臨床のみという感じでしょうか。まずは妥当だと思います。

分かり辛いのは「臨床心理援助技法科目」と「臨床・実践実習科目」の単位数AとBですが、これについては

単位数の A は「資格試験の受験要件」を、Bは「修士修了の要件」を示す。

とのこと。

…修士修了のための単位数と、受験要件のための単位数はカウントの仕方が違うということで…どういう意味があるんでしょうか?大学院のカリキュラムに詳しい人、解説プリーズです(他力本願)。

あと、やっぱりこちらも修士論文が入ってません。この点については

⑤修士論文または大学院が定める研究論文等を提出し審査合格が資格受験要件となるが、その単位は受験資格要件の計38単位及び修士修了要件の計30単位には含まない。

と書かれておりますが…何ででしょ?ひょっとして臨床心理士の専門職大学院を生かすためでしょうか?いや、それだったら「論文による審査合格を資格受験要件」とする必要はないですよね…うーん。謎です。

※5月9日 18:55追記
Twitterにて、大学教員の@1hc0mさんよりコメントいただきました。

ということで修士課程修了の要件として決まっているとのこと。

@1hc0mさん、情報提供ありがとうございました。

学外施設実習

あ、あとは実習の実時間についてですね。特に学外での実習について。

「学外施設実習I(M2)(医療領域)」が90時間、「学外施設実習II(M2) (福祉領域・教育領域・その他の領域)」がこちらも90時間の計180時間をM2の1年間で行うわけですね。

結構長いようにも思いますが…1年間を52週として何だかんだで実習に行けるのが40週とすると、180時間÷40週=4.5時間です。

もし1回の実習を9時〜17時で間に1時間の休憩を挟んだ7時間とすると、180時間÷7時間=25回。

いずれにしてもそんなに無理のある時間数ではないと思います。

現行の指定大学院だと、学外実習の時間数ってどのくらいなんでしょうか?こちらも無知な私に教えてプリーズ(また他力本願)。

しかし、医療領域はともかく、それ以外の領域での実習、しかも見学のみならず80時間の参加実習を含むとなると、実習先を見つけるのが非常に大変な気がするのですが、実際のところ実習先の確保は可能なのでしょうか?

臨床心理士はどうなるんでしょ?そして臨大協

もしこのカリキュラム案が実現するならば、臨床心理士の資格は必要なくなりますね。恐らく大学院の教育内容に関して、あまりにも重なる部分が多いはずなので。そういう意味で、心理臨床学会がこのカリキュラム案の実現可能性をどの程度と見積もっているのかが気になるところです。

そして、それに関連して…かはわかりませんが、一つ気になる動きがあります。

日本臨床心理士養成大学院協議会(臨大協)のサイトの「お知らせ」ページに5月7日づけでこんな記述が…。

日本心理臨床学会の鶴光代理事長が平成26年5月1日付で同学会代議員・監事にメール送信した「心理職の国家資格関連のお知らせ」に、事実と反する内容がありましたので、同理事長に謝罪と訂正を求める抗議文書を送りました。

これだけでは何のことやら…って感じですね。

一応、「心理職の国家資格関連のお知らせ」なる文章は会員限定ページで閲覧可能なのですが、一部引用します。

4 月 22 日に議連総会が開催され、この法案骨子が全会一致で承認されました。議連会長河村建夫議員の挨拶、議連幹事長加藤勝信議員挨拶があり、議連事務局長に就任された山下貴司議員より法案骨子の説明がありました。参列した議員は、復興大臣根本匠議員、もと厚生大臣丹羽雄哉議員他約 15名でした。なおこの席には、日本臨床心理士資格認定協会専務理事及び日本臨床心理士会会長、日本臨床心理士養成大学院協議会理事、三団体の各代表者等が出席しました。

なお、4 月 27 日に、第 13 回臨床心理士関連 4 団体の会合が行われ、この法案骨子に関連して意見交換がなされ、大筋でこの法案にどの団体も同意であることが確認されました。

臨大協が関連しそうなのはこの辺りだと思います。

恐らくは「大筋でこの法案にどの団体も同意であることが確認されました」が「事実と反する内容」なのではないかと推察されるのですが、なぜ臨大協のページには抗議文章を送った事実のみが記載され、その内容については触れられていないのでしょうか?謎です。

まだまだ一波乱ありそうな予感

そんなこんなで、5月中の法案提出が予定されているわけですが、相変わらず一枚岩とは言えない臨床心理士界隈であり、今後も予断を許さない状況が続くのではないかと思われます。

引き続き、情報収集はしていきたいと思いますので、皆様もご協力よろしくお願いいたします。

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