心理・精神医学本

『カルトからの脱会と回復のための手引き』

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09/01/20のエントリ、遠見書房と無料謹呈、そして09/01/30のエントリ、こういう形で役に立てるのはうれしいことでございますでご紹介した出版社、遠見書房による書籍第一弾のこちら。

カルトからの脱会と回復のための手引き――〈必ず光が見えてくる〉本人・家族・相談者の対話を続けるために カルトからの脱会と回復のための手引き――〈必ず光が見えてくる〉本人・家族・相談者の対話を続けるために
日本脱カルト協会

遠見書房 2009-02-10
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この本の書評…ってほど高級なもんじゃございやせん。私に書けるのは感想文程度のもんです。そんなわけでワタクシ的な読書感想文いってみたいと思います。


感想の前にワタクシ、「カルト」に対する専門知識は皆無に近いです。テレビでカルトがらみの話題が出た時に「へー」と思う程度の知識しかないです。そんな予備知識のない私にとっては、カルトの定義やカルト問題の基本的なところから説明してくださっているので大変理解しやすかったです。
ただ、私みたいな素人同然の人間に対してのわかりやすさを追求したためか、各章の記述があっさりしすぎな感がなきにしもあらず。もうちょっと突っ込んだ解説が欲しいなあと思う部分もありますが、その辺は参考文献を参照すべきですかね。
とりあえずカルトの何が問題で、脱会、そして脱会後に待ち受ける困難がどんなものであるかがワタクシなりに理解できたような感じです。具体的な事例を通じて介入方法が書かれており、そして「脱会者の証言」という形で体験談も語られていて、理解しやすくそして集中力を切らさず割と短時間で読むことができたってもイイ感じでした。
んで、興味深かったというか、これまた私の知識の無さを露呈するようでアレなんですが、著者の多くが宗教家だったりするんですね。
日本脱カルト協会(JSCPR http://www.jscpr.org/)のトップにも

当会は破壊的カルトの諸問題の研究をおこない、その成果を発展・普及させることを目的としたネットワークです。心理学者、聖職者、臨床心理士、弁護士、精神科医、宗教社会学者、カウンセラーそして「議論ある団体」の元メンバー等により構成されています。

とあります。
確かに心理学領域だけの問題ではないですし、こうした専門家のチームによるアプローチだったり各専門領域からの知見が重要なのだなあということは容易に想像できます。
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さて、以上の点を踏まえて私がこの本を自腹で買うかどうかと聞かれたら…うーん。正直微妙です。なぜなら今のところ私的には需要がないから。まだまだ臨床経験も乏しいワタクシの、その少ない経験中でカルト脱会の問題に関わったことが今のところありません。
恐らく今の職場にいる限りは今後も関わる可能性は低そうです。
ただし、今後何らかの形で学生相談なんかに関わることになったら、これはやはり事前に勉強しておかねばならないと思います。こういうケースは突然来るでしょうし、そうなった時に慌てないための準備として、この本にあるくらいの知識は必要なのではないかな、と。
「第4部 社会に向けて-啓発と予防」ではその多くの部分がキャンパスにおけるカルト問題に対する言及であることからも、学生がカルトの被害に遭う危険性が高いことがわかります。
そんなわけで、大学などで学生相談に携わる人は必須、それ以外は興味のある方どぞーって感じですかね。
何かの参考になれば幸いでございます。

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