臨床心理学

医療心理師の存在意義・そして医者コンプレックス再び

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臨床心理士デスマのつぶやきBlogでは昨日、最多アクセス記録が更新されたそうで。当ブログも久しぶりにユニークアクセスが1000を超えて「いったい何が起きているのだろう?」と思ったんですが、やはり国家資格化法案が廃案の危機(?)に瀕している(という情報が一部で流れてる)のがその大きな原因のようです。
当ブログでもこの話題は今後も続けて追っていきたいと思いますし、引き続き皆様からのタレコミ情報などもお待ちしているのですが、私は無精者なものであまり情報の裏をとるようなことはしません。というか、一連の情報は裏をとるのがかなり困難なものも多いので、とりあえず情報は垂れ流しにしておきます。当ブログをご覧の皆様におきましては、情報の取捨選択につきましては自己判断でよろしくお願いします。
正確な情報という意味では、前述のデスマさんのところか、あるいは緊ブロをご覧になるのがよろしいかと思います。
そんな情報の垂れ流ししかできない私は、情報の真偽の客観的な判断よりも、他人の書いたテキストに関する極々主観的な感想(しかも駄文)を書き連ねることしかできないのです。
さて、現在博士論文を作成中の(おそらくは非常に優秀な)大学院生さんであるところのSDさんのブログ、Cognitive Blog Therapyの7/23のエントリ、心理士国家資格についてにて、こんなことが書かれていましたよ。

この資格に関しての個人的見解ですが,

ぶっちゃけ,どーでもよくなってきました(苦笑)

当初は「いつしか国家資格になってくれるといいのになぁ」と思っていたりもしていて,
この話が現実化し始めてきたときには結構うれしかったりもしたのですが,

あまりに利害団体の思惑が交錯しすぎていて,こりゃ成立してもろくなもんにならん

と思い始めました.

えーと…私も概ね同意です。そもそも最初の時点(国家資格化が取りざたされた時点)から利害団体の思惑は交錯しまくっていたので、今更感はあります。
さらに引用します。

この法案に絡む利害団体は主に3つ
①医者と同等,あわよくば医者以上の主導権をとりたい臨床心理士
 +独自の権益を持たず,省庁の中でもポジションの低い文部科学省
②医者の下でもいいから,とにかく食い扶持が欲しい医療心理士
③心理士を安価な労働力にとどめておきたい医者
 +厚生労働省

従来の対立構造としては,①VS②③になっていたわけです.
今年に入っての急展開は,主に②③側からのアクションによるものでした.
そのなかでも②の中心組織,全心協の働きが目覚しく,
医療分野に限定した「医療心理師」という形で議員立法までこぎつけることが
できました.

この辺もしっかりまとめられていてよろしいかと思います。
で、

これに焦ったのが①の人々.
当初は全力で「医療心理師」を潰しにかかろうとしていたのですが,

世の中から隔離されてのうのうとバブルに甘んじてきた臨床心理士風情が,手練手管の医師にかなうはずがありません.

医師と心理士の専門分野は確かに違いますが,
はっきり言って医師の層は分厚いです.
はっきり言います.

医師と心理士の仕事全般に関する能力差は歴然としています.

だって大学受験を考えてみてください.
医学部と文系心理学科の難易度って,全然違うでしょ?
そもそも情報処理能力の基盤が違うわけですよ.
たとえて言うなら

MMXペンティアムとペンティアム4ぐらい違うわけですよ

・・・分かりづらいか(苦笑).
その差をはっきりと認めた上で,最低限の実力に見合った資格を作ろうとしていたのが②の人々.
この人たちは比較的現実検討能力が保たれている人たちだと思います.

ここに来て私は引っかかってしまったわけですね。確かに医師の層は厚いです。優秀な人はたくさんいますし、そもそも臨床心理学なんて医学の歴史から考えたら、新興の学問もいいところです。で、これまで政治の分野にも深く絡んできた医学領域ですから(医師国家資格を持つ政治家も結構いますよね)、そりゃあ政治的な手腕は手練手管ですわな。
ただ

医師と心理士の仕事全般に関する能力差は歴然としています.

ってのはどうよ?と思うのです。確かにSDさんのおっしゃる通り、大学受験の難易度は全然違いますよね。でも大学受験なんて所詮暗記じゃないですか?
もちろん全般的な記憶能力ってのは、情報処理能力=認知機能の重要な位置を占めていると思いますが、でも臨床実践に必要な認知機能ってのはそれだけじゃないですよね。
前にもどっかで書いたんですが、私は統合失調症で現在も陽性症状が持続している現役精神科医を知っています(同僚じゃないですけどね)。afcpさんも同じようなケースを知っているそうですし、他の精神疾患を抱えながらしっかり医師の仕事をしている人もいるとのことです。
医師だったらそれでも仕事できるんですよ。だって、薬ってのは選択さえ大きく誤らなければ(ってそこが難しいところではありますが)、統合失調症の医師が処方しても、強迫神経症の医師が処方しても効果はほぼ同じなわけですから。で、記憶能力が高ければ恐らくはかなりのケースで適切な対応はできると思います(この辺は異論のある方いらっしゃると思いますので、反論お待ちしています)。
でも、心理職ってそうはいかないんですよね。まともに心理療法だったりカウンセリングだったりをやろうとしたら、高い記憶能力だけでは到底不可能であり、もっと高度な認知機能が関わってくると思います。SDさんはパソコンのCPUに例えていますが、私はその例えは適切じゃないと思うんですよね。SDさんがおっしゃっているレベルの情報処理能力・認知機能に関して言えば、ハードディスクの容量とアクセススピードを例にした方が適切なんじゃないでしょうか。
さらに引用します。

資格と言うのはなんでもそうですが,
その資格を保持する人の最低の能力を保証するものだと思います.
そう考えると,①の考える臨床心理師は,あきらかに誇大資格.
実力に見合っていないので,国家資格にするのは論外だと思います.
(今の民間資格でも過大評価されていると思いますが.)
そういう意味でも①の人ははっきり言って電波系の人々が多い(笑).

これも概ね同意です。私が今回の国家資格化をずーっと手放しで喜ぶことができなかった原因の一つは、この点にあるのだと思いました。今の臨床心理士のトレーニングの水準で、そして現場にいる人間の能力の水準で、果たして「最低の能力を保証する」ことができているかというと…難しいと思うのですよね。
上で述べたように、まともに仕事をしようと思ったら心理職にはかなり高度な能力が必要になるはずなんですよ。その意味では修士課程修了が資格取得の条件になっているのも極々当たり前のことだと思うのですよ。
最後の「電波系の人が多い」ってのもはっきり言って笑えません。今回の国家資格化に伴って、少なくともネット上で「スライド論者」がある程度存在するというのが、私には非常に驚きでした。もうちょっとマシだと思っていたのですが、それは私の錯覚だったようです。
で、結局、医療心理師の存在意義ってのは今回SDさんが書かれているような内容の中で語られているんだと思うんですよね。所詮、能力が低いんだから、医師の指示の元で出来るだけの仕事だけやってろという。私もそれには半分賛成なんですよ。現状の心理職の能力を考えると(少なくとも私の周りのレベルでは)、とうてい理念・理想に届くものではないし、例えば開業が認められたとしても、果たしてやっていけるのはどれだけの人数がいるのか…という感じだったりします(またそういう奴に限って開業したそうにしている・あるいは既に開業している)。
まともな心理職として働こうと思ったら医師以上の高度な能力が必要になるはずなのに、こんな資格試験程度で「スライド」を望み、そして今、国家資格化存亡の危機を迎えている…って自業自得じゃないですか?
さらに引用します。
(中略)

まぁでも冷静に考えてみると,
ここで下手に国家資格にしなくてもいいかなとも思ったりもしています.
医療心理師だけであればOKだと思うのですが,
臨床心理師抱き合わせ法案はやっぱバブルを引きずるのでダメでしょう.
心理士の不良債権処理ができないし(笑).
いずれにせよ,皆さん「資格に頼ろう」とする魂胆が見え見えで,
はっきり言って見苦しいのですが.
まぁ,あればあるに越したことがないのは事実ですけどねぇ.
でもやっぱり資格で実力以上のものを得ようとするのは,
後で絶対とばっちりがくるので(実はもう来てたりするのですが)
やめたほうがいいと思いますけどね.

あぁ…悲しいけれどお前に夢中…じゃなくて、悲しいけれどSDさんの意見に力強く同意したい俺ガイル。今ここで成立しなければ、SDさんがおっしゃるとおり今後20年…下手すると50年は国家資格化は無理かもしれません。でも、ここで国家資格になってしまったら、果たして心理職のレベル向上は望めるのかというとそれも絶望的であり…。
そしてここはSDさんとは意見の異なる部分かもしれませんが、医療心理師なんてできた日には、たぶんいっそうレベルは低くなるでしょう。そうならないために、今回の法案がポシャるのもいいのかもね…と改めて思いました。
…なんだか長くなってしまったので、医者コンプレックスの話が書けなくなったのですが、なんとなく関連してそうなのはわかっていただけますよね?そのうち改めてまとめたいと思います。
※SDさん。勝手に長々と引用してしまってすみません。問題があったら消させていただきます。あと一応私も統合失調症者の認知機能研究に関わる者として、SDさんの論文は読ませていただいています。なんか釈迦に説法?と思われるようなことも書いてしまいましたがお許しくださいませ。博士論文がんがってくだちい

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