心理・精神医学本

日本臨床心理学会編『地域臨床心理学』

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突然ですが、昨年末ご恵送賜りました書籍紹介第1弾。こちら。

地域臨床心理学 地域臨床心理学
日本臨床心理学会

中央法規出版 2009-11
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「地域移行」が進む中、地域で実践されている「臨床心理学的支援」を学ぶ一冊。地域で生活する精神障害者に対してどのような心理学的支援方法が可能か、基礎心理学を臨床の場でどのように応用するか、医療・保健・福祉施設での心理職の仕事内容等、様々な実例を交えて考える。


まずはご恵送ありがとうございました>関係者各位
さて、編集は心臨じゃなく臨心の方です。当ブログはなんか妙に日本臨床心理学会(くどいようですが日本心理臨床学会ではありません)の情報が充実してたりするんですが、別にワタクシは臨心の学会員ではありません。お友達(でいいのかな?)がいるってことで、その流れで今回もお送りいただいた次第。
で、この本、裕さんも書かれておりますが、昔々の臨床心理学会のような「批判本」ではなく、ちゃんとした臨床心理学の本になっている!という時点で好感が持てるとともに(それって当たり前っちゃあ当たり前なんですが)、内容的にも純粋にこれはなかなか充実してると思います。
学会としてこういう本が出せるようになったってのは、ある意味では日臨心が、政治的な動き抜きで学術団体として純粋に学問に向かっているという姿勢の現れなのではないか…などと、もの凄く上から目線で言ってみた。
・・・・・・・・・・
以前、当ブログでこんなことを書かせていただきました。
【ネタ提供】liedさんの話題提供に回答してみる【ありがとう】(05/02/13)

デイケア専任でも色々仕事がありますよね。確かに「心理療法」は難しいかもしれませんが「『心理職』としての特色をいかに出していくか?」「自分が『心理職』として何ができるか?」を考えられる人であれば、「いい仕事」はできると思いますよ。それこそ同僚に対するコンサルテーションなんてのは、SCよりもよっぽどやりやすいはずです。あとはやはりその個人の能力の問題になってきますが…

以前、単科の精神病院に勤務しててなかなか個人心理療法のケースを持てない人で、精神科のクリニックで1日7件も8件も面接をこなす人がうらやましい…という話を聞いたことがありましたが、単科の精神病院で長期入院している統合失調症の患者さんと関わるのって、ものすごくたくさんのことを学べるはずなんですよね。結局、そこで何が学べるか、何を吸収できるのかはその人次第なのだと思います。そして、同じことはデイケア専任の心理職の人にも言えると思います。

んで、最近もあるブログ、これは修士修了1年目の人が書いたブログなんですが、やっぱり「単科精神科とかデイケアでは自分が思うような仕事ができない」みたいなのを読みました。
「ふざけんじゃねー」と思いますよ。
自分ができることを考え、それをやりきった上でそう言っているのか?と。文句を言う前にできることは色々あるんじゃねーか?と。
もちろん、色んな病院・施設がありますし、そこで働くスタッフも色んな人がいると思います。その中でどうしても自分の力が出し切れない、どうしようもない状況というのは当然あると思います。でも、自分の力が出し切れないとしても、何もできないわけじゃないでしょうし、少なくともそこで学ぶことができることは何かあるはずです。
今回ご紹介する『地域臨床心理学』にはその辺のヒントが書かれていると思います。
デイケアだけではなく、精神科病院、地域生活支援センター、精神科居住系施設、精神科クリニック、保健所、作業所、家族支援など、様々な領域で心理職がどのように働くことができるのか、実例を挙げて紹介されております。
「今の職場で自分には何ができるんだろう?」と悩んでる心理職の人なんかは色々と参考になることでしょう。
現在の職場である程度機能できている心理職の人の場合は、自身と同じような職場での話はあっさりすぎて参考にならないかもしれません。でも、他の現場で他の心理職がどのように機能しているのかを知ることで、今後、様々な連携体制を取る際の参考になるかもですよ。
執筆者の一人である特定非営利活動法人福祉会菩提樹の佐藤和喜雄氏(第8章 作業所での臨床心理 担当)は「おわりに」の中でこの本について以下のように述べております。

 私たちはこれらを教科書的実践例として著したつもりはありません。むしろどこまでも矛盾と葛藤を抱えながらも、本学会の目的に謳うような「真の臨床心理学とその実践」というものが、あるとすればどのようにあるのかを模索する営みの道程にある活動だと考えています。

ということで、心理職がどのように働くか、という結構根源的なところを考えるきっかけになる一冊なのではないかと思いますよ。
興味のある方はどぞー、です。
そして相変わらずの感想文しか書けずつくづく申し訳ないと思う次第であります>関係者各位

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