心理・精神医学本

私が神田橋本を紹介していない理由

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神をも恐れぬ所業的な内容をこれから書きそうな予感。まあ読んでやってください。
セレクトショップ心理・精神医学本の過去ログを見ていただければわかると思いますが、このブログでは神田橋條治氏の本を一冊も紹介してませんでした。
もちろん忘れていたわけではありません。意図的に紹介していなかったのですよ。
神田橋氏の本の著作は、非常に良い本が多いです。名著ともいえるような本が目白押しです。ただ、彼の一連の著作は非常に良い本すぎて、「これって彼だからできることなのでは?」と思ってしまったりするのです(あぁ…畏れ多いことを書いているなぁ>俺)。
臨床実践においては、私が繰り返し主張しているようにScienceの要素は必要不可欠です。それがない限りは、その行為は心理療法・カウンセリングたり得ません。ただ、Scienceだけでは臨床実践は不可能です。そこには必ずArtの要素があるはずです。
この場合のArtとは一般には「技術」と訳されると思います。英和辞典でartを調べてみると…

芸術, 美術; 技術, 技能; [1]集合的 芸術作品; (pl.) 学芸 (liberal arts), 人文科学; 人工; 技巧, 熟練; (時にpl.) 術策; 〔古〕 学問.

とかかれています。この訳でいうと「技能」が近いでしょうか。で、心理療法は「技術」であるってことも、このブログや他の場所で私が主張してきたことであります。
さて、ここで神田橋氏ですよ。彼の本は名著が多いというのは周知の事実です。で、私も確かに何冊かは「ほー」とか「へー」とか関心しながら読んだ記憶があります。で、私の感想なのですが神田橋氏の行っている精神療法、そしてそのエッセンスを凝縮した彼の著作は、Art(技術)というよりもArt(芸術)に近いように思うのです
確かに「技術」にも上手・下手は歴然としてあります。そしてそれはトレーニング次第で磨いていくことは十分に可能です。もちろん、芸術ってのも同じですし、芸術たり得る水準を目指して努力することはそれなりに意味があると思います。でも「芸術」となると、何だか一般化できない話のように思われてくるのですよ。「あなただからこの作品は作れたのでしょう?」と思ってしまうのですよ。
…で、たぶん私は神田橋氏に心酔している臨床家ってのがたぶん苦手なんだと思います
神田橋氏はそれくらいの影響力やカリスマ性は十分に持ち合わせた人だと思いますが(見た目はちっちゃいおっさんですけど)、しばしば盲目的に心酔している人がいるんですよ(てか、私の周りにはいます)。まあ、そういう人は十分な技術を持った上で心酔してるんでしょうが(←ええ、たぶんに揶揄を含んでおります。揶揄成分80%含有です)、私みたいなぺーぺーだと、心酔してArt(芸術)として味わうだけでは、自分の臨床的な基盤を築くことができなくなるように思うのですよ。
うーん…うまくまとまらないですね。これを読んだ方からのツッコミで補足できたらと思います。
あ、未読の方は読んでおいた方がいいですよ(あんまり未読の人はいないかもしれませんが…)。これらの本は紛れもない名著だと思います。ただし、あまりおぼれすぎないようご注意を…

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…って結局紹介してるんじゃん!>俺

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