心理・精神医学本

精神分析における言葉の活用

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読書欲求が増しつつある今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか?あれですかね。やっぱ「読書の秋」が近づいてるからですかね。
日中はまだまだ暑いですが(実は職場にいる限り、それはあんまり感じないんですけどね)、朝や夜は少しずつ涼しくなっておりますな。秋の気配を感じつつ、本日ご紹介するのはこちらの本。

精神分析における言葉の活用 精神分析における言葉の活用
妙木 浩之

金剛出版 2005-10
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 「はじめに言葉ありき」。本書の主題「活用use」の意味するところは,道具として言葉をどのように利用・運用するかということであり,とりわけ心理療法の空間において,どのように言葉を使うかという点に集約される。
 まずウィニコットやサリバン,ラングスに加えて,グレイ,ギルといった米国の対象関係論以後の諸学派の理論・技法をバックグラウンドに臨床の仕事にたずさわる著者が,それらの心理療法家たちの理論・技法をわかりやすく解説する。そして,臨床場面における道具としての言葉,言葉の認識機能としてのメタファーの重要性,実際の行為としての発話の力など,言葉とそれに付帯する要素をどのように活用すべきかを示す。
 本書は精神分析を愛する,そしてそれを標榜する著者が,その利用価値を最大限プラグマティックに拡張したいと願って書いたユニークな臨床指導書である。

ファンも多い妙木氏の著作なので持っている方も多いかもしれません。対象関係論メインでやってる人以外にとっても、なかなかよさげな本ですよ。
(こんなところで日々駄文をダラダラダラダラと垂れ流している自分に言われたくないかもですが)我々の仕事は主に言語を媒介としたコミュニケーションが中心となっております。で、とにかく言葉というのは大切なものなのですよね。そしてそれは当然、対象関係論だけでも精神分析学だけでもなく、対人援助職に就く人々全てにとって当てはまることなのですよ。
その辺を踏まえて、筆者はこのように述べております。

私が本書を書くときに,読者として(かなり勝手に)想定した人は,精神分析プロパーの人ではなく,一般に心理療法やカウンセリング,あるいはソーシャルワークやケアの仕事についている人たちである。言葉を使って人と出会い,そうしてある程度長いあいだ付き合っていく必要がある人たちである。(中略)正式な精神分析,つまり週4回以上,寝椅子を使った自由連想法で得られるものは多いが,現実にそういう(設定を使える)立場でなくても,同じような効果を得るためにはどうしたら良いか,たとえば一緒に風景を見るように面接をする,分析的な悠長さを持つ,声を重視する発想を持つ,カットオフ技法を使っている,設定の力動的な理解から相互法的な面接を考える,メタファーを発見して使用するなど,どの章もそうした発想から書き込んである。

金剛出版ホームページ:精神分析における言葉の活用:「あとがき」より
ということで、多くの方にお薦めしたい本です。
個人的には認知行動療法とかをメインにしてる人がこれを読んでどんな感想を抱くのか興味深いところだったりします。
興味のある方は是非ともどぞー。

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