著者の末木新氏より、こちらをお送りいただきました。ありがとうございます!
自殺の方法を示唆するいわゆる「自殺サイト」の問題の一方で,インターネットは誰にも自死への思いを打ち明けられない人が匿名で集うコミュニティとして,自殺を予防する互助の場としての希望を宿す存在にもなった.自らサイトを立ち上げる参加研究で,ネット時代の臨床心理学の研究と実践を試みる.
いやー、表紙がかっこいいですね。Amazonさんに表紙画像が掲載されていないのがもったいないです。
出版社のサイトでは目次が見られますよ。
あと、末木氏のブログでも先日、この本の出版について触れられております。
・本が出ます!―そしてインターネットと自殺の関係の展望(自殺サイト:自殺 臨床心理学 (和光大学末木新研究室ブログ))
こちらの本、末木氏の博士論文を部分的に修正し、7つの実証研究を含む5部構成となっております。そんなわけなので、とにかくボリューム感たっぷりです。
まだ流し読みしただけですが、著者の「売り」の一つである臨床心理学研究としての方法論の斬新さも含めて個人的にはとても興味深い内容だと思います。また、ベースが博士論文なので当たり前っちゃあ当たり前ですが、研究の一つの集大成としてきっちりまとまっており、参考文献が豊富なのもいい感じです。
惜しむらくは、これ、完全に「専門家向け」もっと言ってしまえば「研究者向け」の本だってことですよね。内容だけではなく価格設定も含めて。表紙を見ただけだと、一般向けの本だと思われたりする可能性もあるかなあと思ったり。
恐らく今後、これらの研究結果を踏まえた一般向けの啓蒙書的なものも企画されているのではないかと想像するわけなんですが、この装丁はその時に使った方が良かったのでは?と思ったりします…いや、その時にはもっとポップな感じになるのかもしれませんが。
内容的に特に注目したいのは、著者本人がブログにも書いているこの部分でしょうか。
このサイトの目的にも書かれているのですが、私のネット×自殺の研究は、基本的にネットを擁護することを目的として開始されました。
しかし、調査をやればやるほど、当初の考えは変わらざるを得なかったというのが、正直なところだと思います。
まぁそのような私の逡巡というか迷いというか転向と言うか、そういうものをこの本とその後に続く論文をもとに読みとってもらえると嬉しいかなぁと思ったりもします。
もちろんこの「逡巡」「迷い」「転向」がこの書籍にそのまま書かれているわけではありませんが、そういった経緯があったことを知っているのと知らないのでは、また味わいも違ってくるのではないかと思いますよ。
自殺サイトを運営しているわけではなくとも、私みたいに臨床家であることを明言しつつサイトやブログを運営している人は、目を通してみると思うところがあるんじゃないしょうか。
そんな感じで興味がある方は是非ともポチっとどーぞ。
あ、あと今回から、直近にご恵贈いただいた書籍につきましては、サイドバーのトップに掲載させていただくこととしました。どの程度の宣伝効果があるかは微妙なところではありますが、結構な数の専門家の皆様が当ブログを読んでくださっている…ような気がしなくもないので、もし「この本を是非紹介してください!」という著者様や出版社の方がいらっしゃいましたら、こちらよりご一報お願いいたします→お問い合わせ - ロテ職人の臨床心理学的Blog
もちろん、個人的に私のことをご存知な方は直接お送りいただいても構いませんです。はい。