“子どもが好きな(好きだった)絵本シリーズ”。
これはもう、まぎれもない傑作です。
「むかしむかし、静かないなかにちいさいおうちがたっていました。それは、ちいさいけれどとてもがんじょうにつくられた、強いおうちでした」
こうして始まるバージニア・リー・バートンの『The Little House』(邦題『ちいさいおうち』)は、1943年、カルデコット賞に輝いた不朽の名作だ。
ピンクのばら色をしたちいさいおうちは丘の上に建っている。りんごの花がつぼみをつけることで春の訪れを知り、初雪が舞うことで冬の到来を感じていた。だが、町の明かりが遠くに見えはじめたのをきっかけに、ちいさいおうちの周辺もどんどんと変わっていく。まず道ができ、そこに自動車やトラックが走りだし、整備されて道路となった。やがて道路はあちこちに延び、背の高い家やアパート、お店、車庫なども次々と完成、ちいさいおうちを取り囲んでいく。とうとう住んでいた人たちも引っ越してしまい、ちいさいおうちは町の真ん中でひとりぼっち。人工的な町の照明は明るすぎて、もはや太陽も月もわからない。ちいさいおうちは思う。「月あかりの中、かがやく白いヒナゲシのお花畑やりんごの木々がもう1度見たい」と。
ぽつんと取り残され、町の中で窮屈そうにしている古ぼけたちいさいおうち。その姿に子どもたちは胸を痛めることだろう。だが、女の人が現れて、ちいさいおうちを田舎に移してやり、そこで幸せに暮らすという結末にほっとするに違いない。低年齢の読者は、あらすじや挿絵を追うのに夢中かもしれない。だが、本書は都市化の弊害をさりげなく子どもに伝えた、忘れられない作品である。
これ、私も子どもの頃、好きだった絵本です。
とにかく絵がきれいです。幸せだった時代の鮮やかな色使い。そして、狭く窮屈で灰色の都会から、再び明るい場所に出られたという対比が見事です。
ホント、お子様のいない方々でも楽しめる絵本です。もちろん、お子様達もきっと惹かれるところがあるはずです。
ずっと前、このブログでもご紹介したはず…と思って過去ログを調べてみたら、9年近く前、娘が4歳の時に取り上げてるんですよね。
・先日娘に買った本(05/08/28)
その娘も、未だに大好きな本です。
そういや、今回調べてみて気づいたんですが、これ、原書はKindle版まで出てるんですね…とは言え、さすがにKindleで絵本は味気ない感じもしますが。
なにはともあれ、未読の方は是非ともどうぞ。