心理・精神医学本

【ご恵贈】金原洋治監修・はやしみこ著・かんもくネット編『どうして声が出ないの?: マンガでわかる場面緘黙』【感謝】

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どうして声が出ないの?

自分の小学生時代を思い出すと、だいたい一学年に一人は「学校で全く話さない」という子がいたように思います。当時は「この子はなんで話さないんだろう?」と不思議に思っていましたが、それが「場面緘黙」ということだったのだと大学の学部の講義でようやく理解できたのでした。

今回、そんな場面緘黙に関する非常によさげな本をお送りいただきました。

こちらです。

●帯より
親子で取り組む特別支援教育

●まえがきより
「なぜ声が出ないのか、どうすればよいのか」を具体的にわかりやすくマンガで説明します。大人になった経験者が登場し、子どものときに工夫をしたことが描かれていますので、子どもは勇気づけられるでしょう。後半は周囲の大人が、どのようにして支援を進めていけばよいのか、家や幼稚園や保育園や学校などさまざまな場面を想定して解説しています。近くに専門家が見つからなくても、適切な対応の手引きとなるでしょう。

出版社の紹介ページでは、編著者・監修者の紹介、簡単な目次などが見られますよ。

どうして声が出ないの?学苑社

全61ページと比較的薄い本ではありますが、内容はかなり濃いと思います。特に、場面緘黙のお子さんや親御さんにとってはとても役に立ついい本なのではないかと。

前半の漫画は子どもにも読みやすいよう、漢字にはしっかりルビが振られておりますし、ホントに「勇気づけられる」内容になっています。

自分の状態がどんな状態なのか、当事者である子ども自身には理解し難いでしょうし、それはとても不安なことなのだと思います。「自分だけじゃない」ということを知るだけでも安心する部分はあると思いますし、「なぜそうなっているのか?」「同じ状態であった人が、その後どのように人生を送っているのか?」を理解するということは、大きな希望になるはずです。

そして、後半部分。場面緘黙の子どもを持つ親が、子どもに対してどう関わっていくかということだけではなく、学校に対してどのように関わっていけばいいのか、そして専門家へどのようにアクセスしていくべきなのかといった内容が、非常に具体的に書かれております。

特に印象に残ったのは、発表会や運動会など特別な行事の際、あるいは新学期の準備の際などに学校側と何をどのように話し合ったのか、「元場面緘黙児の保護者。かんもくネットのホームページ制作担当」(出版社の紹介ページより引用)である著者の経験を元に「口頭だけではなく記録が残るように書面でも伝えましょう」といった細かい内容まで踏まえた対応策が書かれていたことでした。

場面緘黙の子を持つ親御さんはもちろんですが、SCなどでコンサルテーションが必要だったりする専門家の方々にもお勧めの一冊かと思います。

興味がある人は是非ともどうぞ。

そして、今回この本をお送りいただきました編著者・監修者の方、そして出版社の担当の方に心より感謝いたします。どうもありがとうございました。

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