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採用試験で心理検査を安易に使うのはもう止めにしませんか? ─ 一部自治体の教員採用試験でMMPIが使用されているのが話題に ─

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わかりやすいMMPIハンドブック

こんなニュースがありました。

教員採用:心理テスト、受験生ら募る不信毎日新聞

ちょこっと引用しますよ。

教員本来の能力とは関係がないとみられる質問を含んだ心理テストが、一部自治体の教員採用試験の適性検査で行われていることが15日、明らかになった。精神疾患の有無を判定するための指標として、米国で約70年前に開発されたとされるテスト「MMPI」。受験した教員志望の学生や関係者からは、採用との因果関係が不明で人権侵害につながりかねない質問内容に、不信の声が相次いでいる。

詳しくは本文をお読み下さい。

…えーと、何と言いますか、とにかく使い方がどうしようもなくダメだとしか言いようがないですね。

原則として、心理検査を行った場合には何らかの形でその結果をフィードバックすることは必須です。そして恐らく、上記リンク先の記事で問題になっている教員採用試験で使用されるMMPIについて、検査結果のフィードバックはなされていないのでしょう。

この問題ついての解決方法は割と簡単で、希望があった場合には結果の開示をすりゃあいいんじゃないかと思うのですよね。というか、実際のところ、そういうことはやってないのでしょうか?

確かに受検者全員から開示請求があった場合には、かなり大変なことになってしまうかもしませんが、でもそれくらいのことはしないと、訴訟なんかになった場合には負けそうな気がします(法律には詳しくないので適当に言ってますのであしからず)。

ただ、もしその辺の問題をクリアしたとしても、採用試験に心理検査を使うことは止めた方がいいと思います。

なぜならば、就職試験で使われることがバレてしまった時点で「対策」をされてしまう可能性があるからです。

例えば、内田クレペリン精神検査なんかがわかりやすいですよね。

ちょっと探しただけで就職試験で使われるクレペリン対策本がいくつか見つかります。

内田クレペリン精神検査もMMPIも、主たる目的としては精神疾患のスクリーニングやその職種に対する適正なんかを見てるんでしょうけれども(この辺りも各企業で目的は異なる可能性はあり、確実なわけではありませんのであしからず)、対策されちゃったら何の役にも立ちませんよね。

かと言って、対策されにくい投影法などを用いたらその結果に対する評価に莫大なコストがかかってしまうでしょうし、投影法だって事前にどんな内容が使われるのかわかっていれば、これまた対策はされてしまうでしょう。

そう考えると、いっそのこと役に立たない心理検査なんかは止めちゃったらどうですか?とも思ってしまうわけなんですが、そうなってしまうと困る人も出てくるのかもしれませんね。その心理検査の採点や解釈を担当している業者さんとか。

いずれにせよ、最低限、希望する人には合否に関わらず検査結果を教えるべきだろうなあと思った次第でありますよ。

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