研究と臨床

【科学的】臨床心理士が研究するということ(2)【思考】

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 この間、同僚の精神科医N先生と飲んでた時「医者はバカが多い」という話で盛り上がってました。ここでいうバカとは「科学的思考が身についていない奴」を意味しております。


 前にもどっかで書いたかもしれませんが、医学部というところは忙しいところで、高度化する現代医療の中で臨床に耐えうるだけの知識をたった6年で身につけるというのは非常に大変な作業だとは思うんです(ただ医師の場合は卒後研修が充実しているのが臨床心理士とは決定的にことなるんですが…)。で、そうした作業ができる人というのは尊敬に値すると思いますし、少なくとも患者さんの命を預かっているというだけでもやはり職業的な敬意を表したいと思っております。

 ただ医学部で科学的思考を身につけられるかというと…そうではないと思うんです。だって、基本的にやってることは「暗記」ですから(そういう意味ではやっぱり同じく「暗記」で乗り切れる大学受験をの「勝者」が優秀な医学部生にはなれるのでしょう)。もちろんそれも膨大な量の暗記なんですけどね。

 で、ここで言う「科学的思考」とは何かと言えば「再現性だったり実証性だったりを考えること」なんですけど…んなことを言ってると「じゃあ、心理臨床の実践の中に再現性や実証性ってあるのかよ?」って疑問(というか文句)が出てくるかもしれませんね。

 そりゃあ、厳密な意味での再現性だったり、実証性というのは臨床実践の中ではありえないでしょう。変数の統制が可能な実験室実験ならともかく、臨床実践というのはそこに関わる変数は膨大であり、そんなもん完全に統制できることなど絶対に不可能なわけですから。

 だからといって、臨床実践の中で再現性や実証性が無視されていいかといえば、そんなことは全くなく、むしろ再現性や実証性が完全に無視された時点で「それは心理臨床ではない」と断言しても良いかと思っています。

 やっぱり長くなりそうなので、さらに続きます。

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