資格問題

将来、臨床心理士になりたい人達へ質問 「あなたならDOTCH?」

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この場合の「臨床心理士」は、「心理職」とか「心理カウンセラー」とかと読み替えていただいて結構です。
将来、臨床心理士になりたいと思っている大学生、高校生、中学生、小学生(いるのか?)に質問。
仕事に就くのは比較的楽だけど、それで食っていくのは相当大変」 or 「仕事に就くのは相当大変だけど、何とか食っていける」。あなたならどっちを選びますか?どっちの方がいいですか?


というのは、アレですよ。とりあえず最近何度か触れている、法科大学院がらみの話題をまず振り返ってみましょうよ。
法科大学院関連ニュースをいくつか(09/04/08)
関連ニュースから法科大学院と臨床心理士指定大学院の違いについて考えてみるよ その1(09/04/20)
関連ニュースから法科大学院と臨床心理士指定大学院の違いについて考えてみるよ その2(09/04/21)
法科大学院の定員削減の背景としては、恐らく法務省と文部科学省との省庁間のパワーゲームがあったり、あるいは法曹界における既得権益の確保だったり、色んな問題があるのだと思います。
とりあえずその辺の難しいことはおいといて、現在この状態になっているのは、司法試験合格者の需要を考慮せずにとにかく供給を増やそうとした結果だと言えるでしょう。だから、定員を削減=司法試験合格者を抑制しようとしてる、みたいな。
さらに、これまた最近触れている臨床心理士の年収関連の話題を振り返ってみましょう。
臨床心理士の年収についてざっくりと色々考えてみるよ(09/04/06)
臨床心理士の年齢や経験年数についてざっくりと色々考えてみるよ(09/04/14)
臨床心理士の年収についてもっと考えてみるよ(09/04/16)
以上の過去ログを踏まえて考えると、臨床心理士がらみでは恐らく今後、大幅な市場拡大は見込めないでしょう。EAP(Employee Assistance Program;従業員支援プログラム…企業における社員のメンタルサポートみたいな感じ?)とかそういう方面は若干の市場開拓の余地はありそうですが、それだって予想される臨床心理士資格保持者の増加に比較した場合、焼け石に水って感じでしょう。
こうなっているのも、法科大学院の問題と根は同じです。需要も考慮せず、指定大学院を乱立させむやみに供給を増やした結果です。一時的には臨床系のアカポスも増えるでしょうし、見かけ上の市場拡大はあったかもしれません。
しかし、年間約1000人が資格取得するという今の状況が続けば、資格保持者でありながら仕事にあぶれるって人が出てくるのは目に見えています。さらにそんな状態が続いた場合、下手すると指定大学院を持つ大学が潰れるなんてこともあるかもしれません。それはつまり、臨床系アカポスも減少するということです。さらにそれは市場の拡大どころか衰退にも繋がるでしょう。
もちろん、心理職に対する需要が全くなくなるということはないはずです。一定の需要はあるはずです(と信じたい)。あるはずですが、でも絶対に今は供給過多です。それは間違いありません。
さて、ここで最初の質問に戻ります。
このままだと確実に「仕事に就くのは比較的楽だけど、それで食っていくのは相当大変」ということになります…というか、既にそういう兆候は様々なところで見られるようになってます(臨床心理士ユニオンの問題もこの辺と関連しているかと)。それでも「なりたい」ですか?
あ、「楽」とは言っても、修士課程修了はとりあえず最低ラインですけどね。そういうレベルでの「楽」です。
この状況を打開するためには、人材の供給を抑制する…つまり、「仕事に就くのは相当大変だけど、何とか食っていける」という状況にする必要があります。そうなった場合、あなたは心理職に就く自信はありますか?
とりあえずどちらにしても、これからの人は相当苦労するわけで、「それでもなりたいもんかねえ」と思うわけです。
個人的には優秀な人材が増えてくれるのはうれしいことですし、私なんかは後進からバシバシ指導してもらいたかったりするんですけどね。指導ってのは言い過ぎかもしれませんが、少なくとも優秀な後進が増えるということは、自分にとっても刺激的なことなので。
興味がある人、時間があったらコメントしていただけたりするとうれしいかもしれません。コメント返信は遅れる予感大なので、それでもよければ…ですが。

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