心理・精神医学本

精神科リハビリテーションも広義の「治療」だと思いますです

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個人的にえらく反応してしまった今回の「治療」という言葉の問題。
発端となったのは、つなでさんの心理職の国家資格化実現検討委員会の10/3のエントリ、「治療」という言葉でございます。未読の方は是非、そちらを読んでいただけたらと。
さらに昨日、「治療」という言葉・補遺というエントリもアップされています。
そのエントリにこんなことが書かれていますよ。

統合失調症の人たちと話していると、よく「いつ病気が治るの」「早く病気が治ってほしい」という話を聞きます。それは、もっともなことだと思います。「病気が治ってほしい」という願いの切実さを感じることが、とても多かったです。(統合失調症の人たちは感覚が鋭いので、私ごときが「治療者」と名乗ったところで、病気を治す力がないことぐらい見破られるとは思いますよ。)
「治りたい」願いの切実さを前にして、安易に「治療」と言わないでおこうという気持ちが、私はとても強くなりました。

統合失調症に限らず、慢性疾患(身体疾患も含む)というのは基本的に「治りにくい」からこそ慢性疾患なわけで。で、「治りにくい」からといって「治療」しないわけではありませんし、簡単に「治す」ことができないからといって「治療」しないわけでもないでしょう。
別に「治します!」とか「治ります!」とか言うわけじゃないし(そんなことを言うのは糞…というかインチキ以外の何者でもないでしょう)、「治療」という言葉を使うことはいいんじゃないかと思うんですがねぇ。「治療」にも色々あるでしょうに。
「治りたい」という気持ちを理解し受け止めることも「治療」だし、「治りにくい」ことを理解してもらうことも「治療」だし、「治りにくい」事実を踏まえた上でどうやっていくか考えることも「治療」でしょう。
このエントリのタイトル通り、精神科リハビリテーションも広義の「治療」だと私は思います。そりゃあ「治りにくい」疾患ではありますが、だからこそ「リハビリ」は必要だし、その中で心理職が「治療者」として関わっていける場面は多々あります(「治療」は「面接室」だけで行われているわけではありません。「現場」でも行われているのです←「踊る大捜査線」の名文句をインスパイヤしてみますた)。
で、突然話は飛ぶのですが、最近、統合失調症の認知機能リハビリテーションに非常に興味があります。現在、私の「研究テーマその3」くらいの位置づけにあります。
何度かご紹介してますが、この本は非常に(・∀・)イイ!!ですよ。

4524238336 統合失調症の認知機能ハンドブック―生活機能の改善のために
Philip D Harvey Tonmoy Sharma 丹羽 真一

南江堂 2004-09
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ロテ的お薦め対象:精神科リハビリテーションに関わる人全て&統合失調症に関わる際に「治療」という言葉が使えない人
統合失調症における認知機能障害にはどんなものがあるか?という問題から、fMRIなどを用いた画像所見、定型抗精神病薬・新規抗精神病薬、行動療法的介入と認知機能障害についてなど、非常に幅広い範囲に渡る議論がわかりやすくまとめてあります。
「精神科リハビリテーションの中で心理職に何ができるのか?」というのは、私の中での一つのテーマなのですが、それを考える上でも大事なヒントになるような本です。
お薦め!です。

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