臨床心理学

臨床心理職(士)とボランティア その2

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06/02/21のエントリ、臨床心理士とボランティアを未読の方は、まずはそちらの本文・コメント欄をご覧下さいませ。
私はアホの子なもんで、上記ログをアップして皆さんからコメントいただいて、自分なりに考えてみて、よーやく「ボランティアって何?」「臨床心理士がボランティアするってどういうこと?」ってのがわかってきた…ような気がしないでもない…って感じです。


私は「専門技術の提供には相応の対価が支払われるべき」と思っており、この考えは変わっていないのですが、「対価」ってのは別に金銭である必然性はないのかな、と。
「やりがい」だったり、「何かの役に立っているという実感」だったり、「感謝してもらえる」ということだったり、「無償であることのよろこび」だったり、あるいは「そこでできる人との繋がり」だったり…
…ってのはぶっちゃけて言えば「面白い」ってことが「対価」なのかな、と。それって金銭じゃないけど、十分な「報酬」なのかもしれないな、と。
考えてみればこのブログだって誰かからお金をもらっていてそれが目的で書いているわけではなく(若干のアフィリエイト収入がないわけではありませんが、まあそれはおいといて…そもそもそれが本来の「目的」ではないですし)、「面白い」から「自発的に」やっているのであり、そういう意味では「被災地でボランティア活動に従事する臨床心理士」ってのもわからなくはありません。
うん。こう考えれば「人間力」なんて気持ち悪い言葉を使わなくてもいいみたいです。
行きたい人は行けばいいし、行きたくない人は行かなくてもいい…それでいいのかなと思います(なんかすげー当たり前のこと言ってるな>自分)。
ただ、前回引用した
災害医学・抄読会 040618 ボランティアが直面した心の問題(倉戸ヨシヤ:現代のエスプリ1996年2月別冊、p.173-182)
のこの部分↓

専門性を重視し、その役割を強調しすぎたためか、活動の枠組みや路線をあらかじめ設定したり、自由な活動を制限していた嫌いがあったかもしれない。

を見る限りでは「ボランティアで行ってもいいけど、専門性を振り回すのは止めてね(はあと)」という感想を持ってしまうのです。
恐らくボランティアの現場で専門性を活かすことのできる場面は多々あると思います。これまでのPTSD関連の研究を見ても、それは明らかかと。
で、上記過去ログのコメント欄で医師であるミナミノシマさんはこうおっしゃっています。

医師としては、災害現場に「ボランティア」に行くのは結構アリなことだと思っています。
局地的・一時的にものすごく医療の需要が高まった場所があれば、私も行って何かしたいと思います。
きっと、血がどんどん出ている人の圧迫止血をするだけで、あるいは寒空のした風邪を引いてしまう人の喉をのぞいてみてあげるだけでも、意味があるかなと思います。

うん。医師であればそういう「わかりやすい専門性の活かし方」ってのはありますよね。「それだけ」でもかなり意味があると思います。
でも「臨床心理士としての専門性」を活かそうと思ったら、「それだけ」ってのは難しいですよね。やれることは何でもやる中で(ってそれは医師でも同じかもしれませんが)、専門性を活かすことができる場面を見つける、ってのが必要になるのかなと思うです(ひょっとしてすげえ当たり前のこと言ってる?)。
・・・・・・・・・・・
「ボランティア」という言葉を聞いて私が一番最初に思い出すのが「青年海外協力隊」です。
JICA(ジャイカ) 独立行政法人 国際協力機構のサイトにある青年海外協力隊:職種別要請情報のページを見てみると…
…すげえ色んな職種が海外で必要とされているのがわかります。「教育文化部門」には「バレエ」「統計」なんてのもあるんですね。こういうの見るだけでも私みたいなアホの子にとっては勉強になります。
「保健衛生部門」を見ると「看護師」「助産師」「保健師」「薬剤師」…やはり必要とされる職種は多々ありますよね。「ソーシャルワーカー」ってもあります。
…でも「臨床心理士」とか「カウンセラー」とか「心理療法士」なんてのはありませんわな。
「ソーシャルワーカー」の要請内容を見ると、「これは我々の仕事とも重なる部分はあるかも」と思いますが、でも我々は「ソーシャルワーク」が本業ではありません。
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被災地でのボランティア活動と青年海外協力隊は全く同じではないということはもちろんわかっています。被災者支援の中で心理職の専門性が求められる場面は必ずあるということももちろんわかっています。でも、少なくとも我々心理職にとってその専門性を発揮する場というのは、「自分で探していかなければいけないもの」なのではないかなと思うのです。
…この辺り、実際のところはどうなのか、公的な立場で交通費・滞在費自己負担・無償で新潟へ行かれた、しゅう兄さんの臨床心理士的生活のしゅうさんやその他ボランティア経験者に是非ともおうかがいしたいところ。
…え?お前はボランティア活動しないのかって?
自分の私生活や仕事を犠牲にしない範囲でできるものであれば参加してみよーかなーという気持ちもないわけではありませんが、今のところそういうことはないようで…。阪神大震災レベルの状況下では、私みたいな気が利かないアホの子は激しく足手まといになりそう(&かえって他人に迷惑かけそう)な悪寒。
そんな私なのでボランティア活動に従事される方はすごい!偉い!と素直に思います。「専門性を振り回さなければ」という条件つきですけどね。
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もちっと書きたいことがあるのですが、長くなりすぎたのでまた続きにします。需要があるのかわかりませんが、私にとってはためになるので書かせてください。

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