心理・精神医学本

リサ・ルイス, ケイ・ケリー, ジョン・G・アレン(著)神谷 栄治 (訳)『トラウマを乗り越えるためのガイド マインドフルネスとメンタライゼーションの実践』を読んでみよう

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先日のエントリ、【ご恵送】『トラウマを乗り越えるためのガイド マインドフルネスとメンタライゼーションの実践』【ありがとうございます】でちょこっとご紹介させていただきましたこちら。

心理学の世界で注目を集めているマインドフルネスとメンタライゼーションの概念を手がかりに、当事者自らがトラウマを理解し、その対処法を学ぶためのガイドブック。著者らがトラウマの心理教育プログラムで実際に使用してきたイラストや図版を多数掲載、とくに過去の対人関係でのトラウマが現在の心理や行動に影響するメカニズムを解説しながら、自分のペースで取り組めるさまざまな対処法を紹介する。カウンセラーや治療者も必読。

ようやく少し時間もできたので改めてご紹介させていただきます。

とりあえず出版社のページでは著者による「第1章 はじめに」と「訳者あとがき」が読めますので、皆さんもご覧になってはいかがでしょうか?

立ち読み(pdf)


ワタクシ、大変不勉強で恥ずかしいのですが、この本のタイトルにある「マインドフルネス」と「メンタライゼーション」という概念、どちらも知りませんでした。

訳者あとがきにはこう書かれています。

簡単に言えば、マインドフルネスは「現在の瞬間にしっかりと気づいて存在していること」であり、メンタライゼーションとは「自分自身や他者のこころの状態、たとえば感情や欲求や願望、考えなどに気づくこと」と言えます。

こうした考えは当たり前のことであり、とりたてて特別なこととは言えないのではないかと思われる方もいるでしょう。確かにそれはその通りです。臨床心理学においても、理屈ではなく、当たり前の自然なこころの働きを自で活性化させることが見直されてきているということなのでしょう。

原題は“Restoring Hope and Trust: An Illustrated Guide to Mastering Trauma”であり、訳者が敢えてこの「マインドフルネス」と「メンタライゼーション」という2つの概念を強調しているのだということがわかります。

さて、「トラウマ」というと現在の我が国においてはやはり震災関連の様々な事象が思い起こされるわけですが、本書で主として対象としているところの「トラウマ」は「家族など身近な人によるトラウマ(対人的トラウマ)」なのだそうな。そして本書における「トラウマ」とは「極度のストレスを体験することによって受ける長期的な悪影響」であると定義されています。

近年では虐待やDVの被害者に対する支援が注目されており、実際、そうした問題に関わっている臨床家の皆さんも少なくないでしょう。本書はそうした方々にとって役に立つのはもちろんですが、同時に当事者に向けても書かれています。

そんなわけなので、文章自体は大変平易で読みやすいですし、アメリカンな感じのイラストもなかなかいいです。初学者にとっては実際の治療以外の部分についてもトラウマに関する知識を整理するのに役に立ちそうです。原著にある参考文献の他、訳者による関連書のブックガイドも掲載されているので、実践を深めていくだけではなく、研究のきっかけとしても使えそうな感じがします。

ということで幅広い層におすすめなこちらの一冊。興味ある方はポチっと購入してみるのはいかがでしょうか?

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