先日、書店で見つけて気になった本がこちら。
幻聴の世界―ヒアリング・ヴォイシズ 日本臨床心理学会 中央法規出版 2010-10 |
音源が分からないのに、音や声が聞こえる現象。幻聴は、社会の医療化のなかで生み出されたもので、本質的に障害ではない。とはいえ、生活に支障をきたすことも多く、障害といえなくもない。従来の医学では薬物療法で対処してきた幻聴を、ヒアリング・ヴォイシズでは体験を重視し、自己と他者の関係性を探求することで、人生をプラスに転じていこうとする。神託か空耳か、疾病か聴声か。誰にも聞こえない声が聞こえる―その本質を探る。
白い表紙がまぶしいです。
「日本臨床心理学会編」です。「しんりん」こと「心理臨床学会」ではないです。臨床心理学会のセールスポイント(?)の一つは「当事者にも開かれた学会」であることだと思いますが(違ったらごめんなさい>関係者各位)、その辺をふまえてこの本も専門書でありつつ、専門家以外の「当事者」にも読みやすい本となっております。
ワタクシ的には最近の脳神経科学の動向を踏まえた幻聴研究の解説と、幻聴に対する認知行動療法的アプローチ(確かそうだったと思う…ちゃんと読んでないので間違ってたらごめんなさいです)についてのところが面白そうな感じでした。
つか、デイケアとか単科精神科にいると患者・メンバーからの「幻聴ばなし」ってのはたまに聴きましたが、最近この手の話ってあんま聞かないんですよねえ。患者の「体験」を重視し、その幻聴もプラスに活用していこうというのはなかなか興味深いです。
というわけで、精神科臨床の原点みたいなもののエッセンスが詰まっているのではないかと思われるこちらの本。ちょっと機会がありましたら読んでみたいと思った次第であります。
残念なのは、Amazonさんだと結構届くのに時間かかりそうってことですかね。
楽天ブックスでは在庫ありです。
皆様もよかったらどぞー。