資格問題

「公認心理師の法案骨子に対する全心協の意見」がアップされてます

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国会議事堂

心理職の国家資格創設を推進する3つの団体、いわゆる三団体の一つ「医療心理師国家資格制度推進協議会(推進協)」の主要組織が全心協(全国保健・医療・福祉心理職能協会)です。

その全心協のウェブサイトに、本日づけで公認心理師法案骨子に対する全心協の意見がアップされております。

心理職の資格化を推進する議員連盟が総会開催―公認心理師法案骨子を承認

では、引用しつつちょこっと意見など。

前半は日本心理諸学会連合の理事長である上野一彦氏のウェブサイト、カズ先生のホームページでも触れられていた、4月22日の自由民主党「心理職の国家資格を推進する議員連盟」に関する記述です。

この辺は事実確認でしかないのですが、やはり注目すべきはここ。

河村会長挨拶の後、関係団体を代表して村瀬嘉代子日本臨床心理士会会長と大塚義孝日本資格認定協会専務理事の挨拶がありました。これまで国家資格に距離を置いていた大塚氏が、挨拶で「議連ができ、法案作成の第一歩が踏み出されたことに感謝しています」と発言されたのが特に印象的でした。

あくまでも主体は大塚義孝氏個人であって、それが資格認定協会の総意なのかどうかというのがはっきりしていないという点で、上野一彦氏の記述と内容が一致しております。

さて問題は次。

自由民主党議員連盟総会での承認を受けて、今後法案作成が急ピッチでなされると予想されます。そこで、法案骨子の表現に関して全心協は以下の2点について表現の変更を要望します。

はい。どんなでしょう?

1点目は骨子案「三 受験資格」の①②の表現です。この文章では大学と大学院それぞれにおいて必要な心理学等に関する科目を修めることの表現としては不十分であり、大学卒業後の実務経験期間もありませんので、全心協は①②の表現を以下のように変更することを要望します。

三 受験資格 (骨子案より)

試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ受けることができないこと。

① 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)及び大学院を卒業した者で、その課程において主務大臣の指定する心理学等に関する科目を修めたもの

② 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)において主務大臣の指定する心理学等に関する科目を修めて卒業し、かつ、第一の二①から④までに掲げる行為に関わる施設であって主務省令で定めるものにおいて主務省令で定める期間以上の実務の経験を有する者

③ 主務大臣が①及び②に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めた者

① 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)において主務大臣の指定する心理学等に関する科目を修めて卒業し、かつ、大学院でその課程において主務大臣の指定する心理学等に関する科目を修めて修了したもの

② 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)において主務大臣の指定する心理学等に関する科目を修めて卒業し、かつ、第一の二①から④までに掲げる行為に関わる施設であって主務省令で定めるものにおいて3年以上の実務の経験を有する者

後者が全心協による表現の変更の希望案です。

結局、現任の学部卒での臨床心理士資格保持者(指定大学院制度開始以前の世代の)を救済するためには二つ目の条件を入れざるを得ないのですよね。これが抜け道になってレベルの低い資格になってしまうことを防ぐには…どうすればいいんでしょうね?

学部卒の現任者を切り捨ててしまえば簡単なんでしょうけれども…。あるいは法律についてはよくわからないのですが、一部のみ時限立法的にすることで「移行期間」を設けることはできないのでしょうかね?例えば3年間の実務経験を課しておいて移行期間を3年としてしまえば、その間に学部卒の現任者が資格を取得してしまえばいいわけで。

さてもう一つ。

2点目は、以下の骨子、「第四 義務等/一 義務」 の3②の表現で、医師の指示が、医療関連施設といった場ではなく、主治医のいる傷病者という人にかかることになっている点です。

第四 義務等 (骨子案より)

一 義務

1 信用失墜行為の禁止
公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならないこと。

2 秘密保持義務
公認心理師は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならないこと。公認心理師でなくなった後においても、同様とすること。

3 関係者との連携等
① 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、医師、教員その他の関係者との連携を保たなければならないこと。
② 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならないこと。

4 資質向上の責務
公認心理師は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その他その資質の向上を図るよう努めなければならないこと。

全心協は、3②の表現については3団体の要望及び、2013年2月21日の精神科七者懇談会総会の見解(*)を踏まえ下線部分を追記し以下のように変更することを要望します。

② 公認心理師は、医療関連領域において、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならないこと。
*「医療分野における医師との関係については、心理相談等の多くは医行為に含まれるので医師の指示を受けることとする。」(2012.2.21精神科七者懇談会総会の見解)

やっぱり、これさえクリアできれば、ほぼ問題ないと思うわけです。

ただ、こういうことが法律上可能なのか?という点が…実際のところどうなんでしょうね?

ともあれこうして意見を表明してもらえると、我々としてもまた色々と考えやすくなるというものであります。

ワタクシとしては引き続き静観の構えではありますが、各種情報についてはその真偽も含めて敏感でなければならないなあと思うのでございましたとさ。

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