心理・精神医学本 資格問題

浅井伸彦 著『あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには '16~'17年版』を読んでもいないのに批評してみる

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あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには '16~'17年版

最初にご注意。記事タイトルにもガッツリ書かせていただきましたが、ワタクシはこの本を読んでおりません。「読んでもいないのに何事だ?」とのご批判もありましょうが、あくまでも「読んでいない」範囲内でのお話ですので、その辺りをご了承いただけますと幸いでございます。

さてさて、かねてからAmazonさんでも近日発売情報を目にして気になっていたのに加え、SNSなどでも情報をいただいておりました、こちらの本。

ついに今月の25日発売だそうで。

公認心理師をめざすいろんなステージの方々に、それぞれきめ細かく展望をお示しします!

ついに成立した公認心理師法。これにより公認心理師という国家資格が生まれることになりました。心理職の国家資格化はこれまでなかったことであり、臨床心理士等の心理関連職や心理学系の学生にとっては大きな出来事です。この本ではこの制度の背景や詳しい解説、他の資格との位置づけの違い、試験制度や将来像などをいち早く解説します。

出版社の紹介ページでは目次が見られますよ。

あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには '16~'17年版秀和システム

とりあえず一つ言えるのは「先行者利益狙いがあからさますぎてドン引き」というところでしょうか。

「先行者利益」とは読んで字のごとく、「市場にいち早く参入するなど、既に先にいる者たちが得られるメリットのこと」(【ビジネス】先行者利益とは?新規市場は早い者勝ち? - NAVER まとめより)です。

別にいいんですよ。先行者利益を狙うことは、確かに市場原理的には全く問題ありません。

ただ、法律が制定されただけで細かい部分を現実的に詰めていくのはこれからという状況の中で「公認心理師になるには」を語るというのはどうなんでしょ?

大学の養成コースだってまだ準備段階でしょうし、結局現時点でわかるのはネットで得られる程度の情報しかないと思うのですよね。

実際のところ、ネットでは公開できないような情報を持っている人もいるでしょうけれども、それは当然「オフレコ」的な情報にならざるを得ないでしょう。そんな情報、当然書籍に書くことはできないはずです。

ここで「その(=ネットで得られる)程度の情報で果たして1冊の書籍が書けるのか?」という疑問も湧いてくるわけですが、目次を見るとその辺りのヒントがありました。

「第1章 こころの国家資格「公認心理師」とは? 受験資格など概要?」
「第2章 臨床心理士と公認心理師」
「第3章 公認心理師になるまでの道のり ~私の場合、これからどうすればいいの? 現在の属性別「公認心理師」の取得の仕方~」

これらは確かに公認心理師に関する話題です。

しかし、それ以降

「第4章 心理職のしごと ~心理査定、心理療法とその他の職務~」
「第5章 心理職の働く領域」
「第6章 日本の心理学・カウンセリングに関する資格」
「第7章 海外の心理学・カウンセリングに関する資格や状況」
「第8章 現役心理士インタビュー」

と、心理職全般、あるいは現行の臨床心理士資格を含む心理職の資格全般に関する話に終始しております。

この段階でこの本を書いちゃうあたり、少なくとも度胸はある方なのかなと思いますが……。

そういえばこの方、同じ出版社から臨床心理士試験対策本も出してるんですよね。

Amazonさんの著者ページってのもあるんですが『快速マスター中国語』という語学関係の書籍がトップに来てるんですよね。

そして、自分も業績に関しては他人のことをどう言えるような立派なもんじゃないんですが、CiNiiで調べたところおそらく第一筆者としての研究論文はなさそうな感じです。

うーん…先行者利益狙いというか、なんかあからさまな儲け主義の匂いがプンプンしてくるんですよねえ。そう感じるのはワタクシだけでしょうか?

とりあえずネットで情報収集できない人にとっては役立つ本かもしれません。

以上、あくまでも「読んでない」一個人の批評でございました。くれぐれも「こいつは読んでない」ということをご考慮の上、興味がある方はポチっとどぞー。

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