資格問題

【日心臨09参加記録】資格関連委員会企画シンポジウム『国資格問題について』その1

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既につなでさんこと今井たよかさんのブログ、臨床心理職能メモの昨日のエントリ、心理臨床学会お疲れ様でしたでもある程度の内容は書かれておりますが、ワタクシ的な視点から今回の学会での資格関連シンポを振り返ってみたいと思います。
今井さんが書かれている内容と重複する点等あるかと思いますが、その辺はスルーで。あと、ワタクシなりの理解が間違っているところなどありましたら、ツッコミを入れていただければと思います。
あ、あと、このネタについてブログで書いちゃっていいんですかね?…少なくとも公の場で話されたことであるということを考えると、いいんですよね?と勝手に解釈して書いちゃいますよ。この件に関して問題がありましたら、ご指摘ください>関係者各位
さて…


シンポジストは4名。
・野島一彦氏(九州大学・日本心理学諸学会連合副理事長)
・村瀬嘉代子氏(北翔大学/大正大学・日本臨床心理士会会長)
・鶴光代氏(跡見学園女子大学・日本心理臨床学会理事長)
・大塚義孝氏(帝塚山学院大学大学院・日本臨床心理士資格認定協会専務理事)
(発言順)
…とまあ、重鎮のそろい踏みという感じですよ。
とりあえず、全体的には「二資格一法案」から「一資格一法案」という流れになってきている…というお話でした。それを踏まえて、それぞれの立場からコメントがなされるということで。
ネット上の情報としては医療心理師国家資格制度推進協議会(以下、推進協)のベースとなっている団体、全国保健・医療・福祉心理職能協会(全心協)のサイトにアップされているニュースレターが最新のものでしょうか。
全心協NEWS_No.60巻頭言 動き始めた資格化
まずは上記リンク先の動きを押さえておいていただければいいかな、と。
さて、では野島氏のお話から。現在、40の心理学関連学会等で構成される日本心理学諸学会連合(以下、諸学会連合…略しても長い)の動きを中心に。
最大のポイントは9月に行われた資格委員会、常任理事会で、以下の3点が了承されたことかと。配布資料より抜粋。

(1) 資格の基本コンセプト

・資格の名称:○○心理士、心理士(心理師)等が考えられる。
・資格の性格:領域汎用性の資格とする。
・医療機関においては医師の指示を受ける資格とする。
・受験資格者:大学院(修士)修了者とするが、バイパスとして学部卒で○年間の実務経験をした者も受験できる。(アンダーラインの部分は削除)

(2) 三団体での「カリキュラム」のたたき台の作成

(3) 三団体での「要望意見」のたたき台の作成


この「三団体」とは諸学会連合、推進協(いわゆる医療心理師側)、そして臨床心理士(職?)側である臨床心理職国家資格推進連絡協議会(以下、連絡協)のことです。で、今後の予定としては、11月8日の常任理事会までに三団体で「カリキュラム」「要望意見」のたたき台を作成し、それを11月中旬に40の加盟学会に送り検討してもらい、12月23日の理事会で大筋の合意を得る、とのこと。
で、今回の基本コンセプトはあくまでもコンセプトではありますが、結構バランスがとれてイイ感じなんじゃないかと個人的には思います。つか、現実的に考えると、この路線しかないような感じがします。これまで散々もめてきた「医師の指示」に関しても「医療機関においては」という但し書きがつくことで、隣接領域の他職種ともめる可能性が少なくなったりするんじゃないかと思いますし。
あとは「修士修了」ですよね。この点については他のシンポジストも言及しておりましたので、その時に。少なくとも、「この点は譲れない」と野島氏がおっしゃっていたのは(というのは、そういう団体が多いということでしょうけれども)素晴らしいと思いました。
んでもって、野島氏が出した今後の問題・課題は

・心理学界がまとまるカリキュラム案の取り纏めが課題。
・心理学資格を出しているさまざまな学会・団体との意見調整。


前者に関しては、とりあえず諸学会連合的には重要なところでしょうね。ここはぶっちゃけ、現在の「臨床偏重」の大学および大学院教育を是正する絶好の機会でしょうから…ってのはつまり、基礎系(「臨床系」と対になる意味での)研究者、特に若手のアカポス(アカデミックポスト)確保という泥臭い、しかし切実な事情が関わってくるわけで。
そういう事情はおいとくとしても、個人的には私も基礎系重視の教育は必要だと思いますので大賛成。
そして後者。今井さんも言及しておりますが野島氏個人の考えとしては(そして、多くの方も同じことを考えているのでしょうが)、新たな国資格を基礎資格とし、それに既存の資格を専門資格とする案を話されておりました。医師国家資格+専門医みたいな感じで、基礎資格+専門資格という形で。
野島氏は(国資格化には様々な)「痛み」が伴う…的な言葉を使いつつ、既存の「臨床心理士」資格に関してはこの基礎資格にプラスする形での専門資格という位置づけになっていくのでは?…と話されておりましたよ。さらに指定大学院制度については「脱皮」とかいう言葉を使ってたと思うんですが、なんか明言は避けていたような感じでした。そりゃ、現時点では詳細までは話せませんわな。色々決まってないでしょうし。
さらに個人的意見として、「臨床心理士資格認定協会」はこれまで築き上げてきたノウハウや人脈などを考慮すると、法制化された後の「新認定機構」としていく案も提出しておりました。はい。あくまでも野島氏の個人的意見として(ここ大切)。
それはわからんでもないけど、その動きには反対する人も出てくるんじゃないかなあとワタクシ的には思います。
・・・・・・・・・・
なんかえらく長くなりそうな悪寒なので、続きはまた後日。できるだけ鮮度が失われないうちにアップしたいと思います。
ところで素朴な疑問なんですが(そして前にもちょろっと書きましたが)、「国家資格(こっかしかく)」じゃなくて「国資格(くにしかく)」って呼んでるのは何故なんですか?私が無知なだけかもしれませんが、前からそうでしたっけ?誰か詳しい人、教えてプリーズ。
続きはこちら→【日心臨09参加記録】資格関連委員会企画シンポジウム『国資格問題について』その2

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